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年金積み立て不足 16兆7,000億円【9月15日(火)】

上場企業の退職給付債務から年金資産を差し引いた「積み立て不足」が、2020年3月末で16兆7,446億円で、前年同期比で約7,000億円増えています。


これは、割引率(将来の退職金給付見込み額を現在価値に割引計算するために使用する率)が、過去最低になったこととコロナ禍により、3月末に株価が下落したことが響きました。


退職給付債務は、約60兆円ありますが、確定給付年金から確定拠出型年金への移行の動きもあり前年より3%減少しました。


割引率は、企業により異なりますが、全体の平均は、0.78%で前年より0.02%下がりましたが、これは比較可能な2009年3月期以降では最も低い数字です。


10年前には、割引率は2%を超えていましたが、アベノミクス以降の金融緩和で半分以下になりました。


確定給付型の年金は、将来給付すべき負担額を出し、現在用意すべき金額を割引率を用いて計算しますが、その際の割引き率は長期金利などの利回りを参考にしています。


現在のように金利が低ければ、用意すべき金額は相対的に多くなります。


つまり、現在用意しておく必要のある金額が増加し、退職給付債務は、膨らむことになります。


割引率は、【1812】鹿島は0.1~0.6%から0.0~0.6%に引き下げましたし、【7270】SUBARUは海外を0.8%低下し、3.3%に、【4568】第一三共は海外を0.8~13.9%から0.5~12%に改めました。


特に海外では、コロナ禍により、景気の下支えのため世界的に金利が低下し、割引率の引き下げにつながりました。


一方、年金資産は、6%減少して43兆2,850億円となりました。


3月末時点では、コロナ禍により日経平均が18,900円まで下落していて運用資産が目減りしたことが響きました。


今年3月末時点での「積み立て不足」16兆7,446億円は、2016年3月末の約18兆円に次ぐ金額です。


「積み立て不足」の拡大は、企業業績の圧迫につながるので、リスク要因として投資家からも意識されやすくなります。

 


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