焼酎の色規制・輸出拡大に支障 【7月5日(月)】
日本酒や国産ウイスキーに比べ、海外では、焼酎の知名度は低く、海外展開が遅れています。
鹿児島の浜田酒造は、5月に、輸出専用の芋焼酎DAIYAME40を発表しました。
業界最大手、宮崎県の霧島酒造も、今夏、米国や中国、東南アジアで、初の市場調査に乗り出します。
海外展開に動き始めた背景には、欧米の規制緩和があります。
2020年末に、米国向けに、新たに、720mlや1.8ℓなど、4種類のボトルでの輸出が可能になりました。
同様の規制緩和は、2018年に欧州連合(EU)でも、実施されています。
米国とEUともに関税は、ありませんでしたが、ボトルを詰め替えなければならないことが、非関税障壁となっていました。
日本酒には、こうした容量規制はありません。
焼酎の海外展開は、他の種類に比べて、大きく出遅れています。
過去10年間、輸出額は、年15億円程度で推移しています。
2010年には、焼酎と同水準でした、ウィスキーの輸出額は、2020年には、271億円になっています。
日本酒の輸出も241億円に、達しています。
欧米の規制緩和は、焼酎の輸出拡大に、追い風となりそうですが、業界全体での動きは鈍く、まとまりがありません。
焼酎は、長期熟成のあかしで、高級感のある琥珀色のままでは、出荷できません。
この色規制に手を付けない限り、焼酎の輸出拡大は、厳しいと思われます。
色規制とは、焼酎は、ウイスキーの十分の一程度の色の濃さとするという国税庁の通達です。
同じ蒸留酒のウイスキーと区別するために、1950年代に定められました。
本格焼酎は、木の樽で長期間熟成すると、ウイスキーと同じく濃い琥珀色になりますが、色規制のために、ろ過したり、薄めたりして出荷されます。
海外では、琥珀色の蒸留酒は、高級酒と認知されていて、無色という理由だけで、高級酒とは見てもらえません。
政府は、色規制の緩和に動きましたが、焼酎業界の足並みが揃わず、色規制緩和は、先延ばしになっています。
焼酎の、税制優遇を巡る懸念が、業界内にあるからです。
1980~90年代に、スコッチウイスキーの輸出拡大を目指した、英国の要求で、ウイスキーの税率が下がり、焼酎に近づきました。
しかし、今も、アルコール度数37度未満では、焼酎の税率は、ウイスキーより低いので、色規制がなくなれば、税制優遇が、見直されるとの懸念から、琥珀色の長期熟成焼酎を手がけていない、メーカーの賛同が得られていません。
国内焼酎市場は、2007年度をピークに販売量が、25%減っています。
こうした混乱が続くようでは、焼酎という、日本発ブランドを、生かす機会を逸しかねません。
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