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航空会社の資金懸念が再浮上 【9月21日(火)】

世界の航空会社で、資金懸念が再浮上しています。


ワクチン普及で見込んでいた航空需要の回復が、デルタ型コロナのまん延で、見通せなくなっています。


日本航空(JAL)が約3,000億円の調達を発表するなど、航空業界で資金を手厚くする動きが出ています。


JALは、劣後ローンで、3メガバンク日本政策投資銀行から、9月と11月に計2,000億円借り入れを行い、劣後債を10月中旬をメドに発行し、1,000億円を調達します。


劣後債は、50%が資本に組み入れられ、実質的に、資本増強ができます。


JALは、2020年に公募増資で、1,800億円調達したばかりですが、1年もたたず、コロナ禍で、再び大型資金調達に踏み切ります。


劣後ローンや、劣後債は、弁済順位が低いため、通常の借り入れや、普通社債に比べ、金利が高く設定されます。


6月末時点で、JALの自己資本比率は、42.4%と、米デルタ航空や、米ユナイテッド航空が、1桁台のなか、健全性が目立ちます。


それでも巨額の資金調達に踏み切る背景には、JALでさえ不安を覚える足元の資金流出があります。


JALは、4~6月に100~150億円前後だった1ヶ月あたりの資金流出が、7~9月には50億円に縮小し、その後解消に向かうと、シナリオを描いていました。


ところが、7月の旅客数は、国内線がコロナ前の2019年比で4割、国際線は、1割以下と低迷しています。


ワクチン接種が進んだ8月以降も、デルタ型の拡大で、回復の兆しが見えません。


航空会社は、人件費や、機材の減価償却費などの固定費負担が重く、航空需要が落ち込めば、急激に業績が悪化します。


コロナ禍での航空会社への支援は、各国の共通課題で、デルタ株の拡大で、再び公的資金投入などの支援策が、議論にのぼる可能性が出てきました。


既に、独ルフトハンザは、ドイツ政府から90億ユーロ(約1兆1,700億円)の公的資金を受け、政府が、20%の議決権を取得しました。


米国では、経営の独立性を重視することから、大規模な公的資金の投入は避け、雇用面などの資金支援が、実施されてきました。


アジアの新興国は、コロナ対策などで、財政が悪化していて、航空会社支援には慎重です。


政府系のタイ国際航空は、事業継続に500億バーツ(約1,700億円)の支援を求めていますが、政府から了承は得られていません。


ユナイテッド航空は、9月9日、7~9月の提供座席数が、7月時点の2019年比、26%減から28%減に下方修正しました。


米国では、ワクチンの普及で旅客需要が回復してきましたが、7月をピークに、8月は回復が鈍化しました。


同様の傾向が、各国で起こっていて、航空会社にとって、資金調達は、なお課題です。

 


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