【公式】スナップアップ投資顧問ブログ

日本株式の専門家スナップアップ投資顧問の公式ブログ

自動車各社・生産回復力で下期に大きな差 【12月8日(水)】

自動車大手7社、2022年3月期の下半期(2021年10月~2022年3月)の連結純利益が、前年同期比で、4割減る見通しです。


半導体不足による減産が影響するのは、各社共通ですが、部品を確保して、挽回に動き出す時期には、1ヶ月以上の開きが出ます。


新車の品薄で、販売価格は上昇していて、各社の供給力の優劣によって、収益の回復に差がつきます。


日本から、米国西海岸に着いた【7270】SUBARU(スバル)の車は、今までは、在庫の保管場に運んでいましたが、今秋、納車の期間を少しでも短くするために、販売店に直行するようになりました。


減産が響き、スバルの10月末の米国の在庫は、わずか4日分でした。


「カーナビなしなら早めに納車できます」と中国の【7203】トヨタ自動車の販売店では、こんな呼びかけをしています。


半導体不足でカーナビが足りないため、希望者には後付けを約束して、需要の取りこぼしを防ぐ狙いがあります。


新車の需給がひっ迫して、世界各地で納車の時期が大幅に遅れていますが、ようやく部品の確保に目途がつき、自動車大手は、相次いで増産に動き出しました。


トヨタは、12月の世界生産を過去最高水準の80万台とし、下半期は上半期より2割多い、490万台を生産する計画です。


【7267】ホンダも12月から生産を正常化し、前年と同水準まで生産を引き上げます。


スバルも下期の販売台数は、前年比8%減の計画で、トヨタ、ホンダと同様に比較的少ない落ち込みですみそうです。


一方、【7201】日産自動車は、12月も減産が続き、本格的な生産の回復は、来年1月以降となりそうです。


【7269】スズキも、12月以降の生産は、期初計画の7割程度にとどまり、増産に転じる時期は見通せていません。


各社の下期の業績計画には、生産の正常化できる時期により、差があります。


いち早く増産体制が整う、トヨタの純利益は、40%減の9,655億円、スバルは、24%増の652億円、ホンダは67%減の1,657億円を見込みますが、前年の一過性の要因を除くと、30%台半ばの減益となります。


半面、スズキは494億円と46%減る見通しです。


日産も最終損益が113億円の黒字と、前年同期の1,187億円の赤字から黒字転換するものの、上期の1,686億円から大幅に少なくなります。


新車の供給力によって、業績の回復に大きな差がつきます。


世界的に、新車の価格が高止まりし、売り手市場になっています。


米国では、値引きの原資となる、販売奨励金が、10月の平均で、1台あたり2,002ドルと、前年同時期から5割近く下がりました。


その分、自動車会社の利益を押し上げることになり、生産の正常化が早いメーカーは、費用が減り、高い利幅で販売できます。


自動車大手の業績には、更なる上振れがあると見られますが、通常通りの生産に戻れば、販売奨励金も再び上昇に転じるはずで、来期以降は、1台当たりの生産性が、現在よりも落ちるのは必至です。


売り手市場のうちにいかに稼ぐか、下期の格差が、次世代の競争力に少なからず影響する可能性があります。    

 


※無料で銘柄相談も承っております。
※有力な情報配信も行っておりますので下記URLよりご確認ください。

https://snap-up.jp/