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医薬品・貿易赤字が3兆円に 【12月16日(木)】

日本発の画期的新薬は減り、2000年代から膨らんでいる貿易赤字額が、2021年に初めて3兆円を超えそうです。


新型コロナのワクチンの開発も遅れ、輸入に頼っています。


医薬品開発は、20世紀末まで主力だった「低分子薬」から「バイオ創薬」が主戦場となっています。


日本の医薬品の貿易赤字が膨らみ始めたのは、15年ほど前からで、ここ6年連続で2兆円を超えています。


2020年の貿易赤字は、2兆3,613億円で、スマートフォンなどの通信機の赤字(2兆5,000億円)に迫る規模です。


自動車や電子部品の貿易黒字を食いつぶしている恰好です。


今年は、そこに新型コロナワクチンが追い打ちをかけ、1~10月のワクチンの輸入額が前年比10倍以上に増え、年間の貿易赤字は、3兆円を超える見込みです。


医薬品の貿易赤字の原因は、一つは日本企業が海外に生産拠点を移したことですが、問題は、日本企業の創薬力が落ちたことにあります。


日本は、かつては欧米と並ぶ新薬開発の拠点でした。


2000年の売上高世界上位20品目のうち、日本企業が開発したものは、三共(現第一三共)の高脂血症武田薬品工業の抗潰瘍剤など3品目ありました。


それが、2020年には小野薬品工業オプジーボだけになりました。


日本は、化学反応で製造される「低分子薬」を得意とし、ノーベル化学賞8人の受賞者を輩出してきました。


21世紀に入り、主流は「低分子薬」から、遺伝子組み換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジー利用して開発、製造される、「バイオ創薬」に移りました。


「低分子薬」を得意としていた日本企業は、「バイオ創薬」に出遅れ、巻き返しは簡単ではありません。


「バイオ創薬」は幅広く、高度な技術が必要で、大きな資金が必要となりますが、日本企業の研究開発費は、欧米に比べて見劣りします。


創薬の難易度が増し、産学連携も重要になります。


欧米では、大学の先端的な研究成果をもとに、スタートアップが起業し、初期の臨床試験(治験)を経て、大手製薬会社が買収し、実用化につなげる例が多くあります。


投資家が資金を出し、好循環につながっています。


日本では投資家層が薄く、橋渡しを担うスタートアップが育ちにくく、なかなか実用化までつながりません。


2020年の日本の医薬品市場規模は、10兆3,700億円。


高額な医薬品を輸入に頼れば、貿易赤字は一段と膨らみます。


今回のコロナ禍でも、日本はワクチンの承認に時間がかかるなど課題を残しました。


企業が再編などで資金力を高かめるだけでなく、国として創薬をしやすい環境を整えなければ、日本の医療制度自体を揺るがしかねません。

 


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