ハイブリッド人材・限りある労働力を活用 【1月24日(月)】
小売や外食で、多様な職場で働くスキルを持つ、ハイブリッド(複合型)人材の育成が進んでいます。
【8214】AOKIホールディングスは、傘下に紳士服のAOKI、カラオケ店や複合カフェ「快活CLUB」を運営する快活フロンティア、結婚式場大手のアニヴェルセルなどの子会社を持ちます。
それぞれ、繁閑期が異なっていて、人材の融通が課題でした。
コロナ禍以前の2020年3月期では、ファッション事業は、2019年4月~12月までは、営業赤字が続きましたが、通期では28億円の営業黒字でした。
1~3月は、採算の良い冬物衣料が売れ、成人式や就活、卒業式といったイベントも集中しているためです。
一方、カラオケは年末年始、複合カフェ「快活CLUB」は夏休みが繁忙期となります。
これら娯楽事業は、2019年7~9月は、4~6月に比べ営業利益が2倍でした。
従業員数は、ファッション事業が最も多く、年間販管費の8割程度を占めます。
2021年4~9月に、ファッション事業の従業員の1割強にあたる、300人がAOKIから「快活CLUB」に出向しました。
紳士服は、在宅勤務の拡大で売り上げが伸び悩む一方で、「快活CLUB」が家族客の需要を取り込むなど、急伸していたためです。
繁閑に合わせた人材配置で、人件費が、前年同期比、4%減の99億円に抑えられました。
これまで「快活CLUB」からAOKIへの出向はありませんでしたが、2021年2~3月に、初めて10人程送り込みました。
今年の春商戦では、50人程度投入する方針です。
戦力として送り込むには、スキル教育が重要になります。
2021年12月から「快活CLUB」などの従業員向けに、スーツの採寸や提案の実技研修を開いています。
挑戦意欲を高めるため、キャリアアップの要件に、出向の経験を加えました。
AOKIと「快活CLUB」は、全国に各500店舗あり、地域ごとに置いている管理職を一人のハイブリッド人材で管理できれば、人件費をさらに抑える効果があります。
居酒屋「金の蔵」「東方見聞録」などを運営する【2762】SANKO MARKETING FOODSでは、静岡県沼津市で、社員8人とアルバイト2人が、漁業に取り組んでいます。
人手不足に悩んでいた、漁業協同組合と提携し、セリに参加し、店舗向けの魚加工品の梱包作業などを行なっています。
研修段階ですが、漁にも出ています。
現在、全社員の10%にあたる20人が、船舶免許を持っていますが、今後、30~40%の社員に免許を取得してもらう方針です。
コロナ禍で、居酒屋事業が落ち込むなか、同社では、鮮魚・すし業態の「まるがまる」に力をいれていきます。
漁協との提携は、調達力の向上や魚介類を扱う訓練になり、全社員が年一回以上、漁業に携わる体制を整えます。
同社では、店頭のオペレーションだけでなく、調達や加工のスキルを身につけることで、同じ社員数でも、仕事の効率が10%高められると見ています。
コロナ感染拡大の第5波が終わった、昨年10月以降、小売や外食は、一転して、人手不足に見舞われました。
外食関連の11月の有効求人倍率は、2倍強で、全体平均の1.1倍を大きく上回ります。
日本の生産年齢人口(15~64歳)は、2040年には、2015年に比べ、1,750万人も減少する見通しです。
限りある労働力を、いかに最大限に活用するかが、労働集約型の業種の大きな課題となっています。
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