東急ハンズ・3月末にカインズ傘下に 【2月28日(月)】
東急ハンズが、3月末に、ホームセンター最大手、カインズの傘下に入ります。
雑貨などの専門小売業として、名をはせてきたハンズですが、近年は、業績が停滞しており、カインズの下で再生を目指します。
1976年にハンズが誕生したきっかけは、東急不動産の遊休地の活用にありましたが、着眼点が斬新でした。
世の中が自動化していく時代に「手の復権」というテーマを掲げ、手作りやそのぬくもりを見直そうと創業しました。
当時の東急グループの総帥、五島昇氏は、「百貨店にやり方を聞きに行くな。新しい小売りを作れ。」と言っていたそうです。
今日の百貨店の状況をみると、実に先進的な発想です。
1978年、日本最初のDIY専門ビルと言われた、渋谷店がオープンしました。
死に筋商品も気にしない、品ぞろえの奥行きが、大ブームを呼び、ハンズは、消費の新時代を予感させました。
1990年代には、百貨店の主要テナントとなり、新宿高島屋、大丸東京店など、ファッション中心の百貨店の弱点を補うように、陣地を広げて行きました。
しかし、売上高が年間1,000億円を超えた、2002年3月期をピークに停滞感が漂うようになり、ここ数年は、950億円で推移し、2021年3月期は、コロナの影響で、600億円台まで落ち込みました。
停滞の理由の一つは、雑貨・生活用品市場の競争激化にあります。
ロフトや無印良品、ダイソーなどが台頭してきて、2000年以降、デフレ感が強まると、ニトリも急成長しました。
ハンズの展開力も、低下していきました。
仕入れは、店舗ごとだったのが、本部一括仕入れが基本となり、購買頻度の高い雑貨の売り場面積が大きくなりました。
効率性を重視すると、当然の流れですが、顧客を引きつけていた、雑貨店の雑然とした雰囲気が乏しくなり、魅力が失われていきました。
男性のハンズ、女性のロフトと、色分けがはっきりしていましたが、その境界も薄れていきました。
ハンズでも、ファンづくりや、個性的な社員での顧客対応を進めていますが、ドン・キホーテに比べると迫力に欠けます。
ドン・キホーテでは、店舗に7~8人いるMD(商品政策)担当者に仕入れ権限を持たせていて、今でも、30%は、店舗独自の商品が占め、店ごとの違いがはっきり出ています。
店舗運営も、2020年9月から変更し、それまでは、支社長が30店舗程度を担当していましたが、今は、2~5店舗を受け持ちます。
支社長の権限は、おおむね100万人の商圏が対象となります。
支社長には、上司はいません。
店舗は変わらず烈しく、酒専門店などの新しい業態も、相次ぎ誕生しています。
今回の東急ハンズ買収は、カインズが弱点の大都市部を補完する構図で、理にかなったM&Aに見え、経営のスピードアップ、ネット販売での協業という点で、一定の効果を発揮すると思われます。
しかし、業態が違ううえに、規模のメリットは、期待できません。
当面は、リアルの活性化が生命線で、販管費の抑制などの効率化を進めながら、顧客の期待を超えた売り場をつくるという難題が待ち受けます。
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