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企業倒産が歴史的低水準・ゼロゼロ融資で延命 【4月14日(木)】

企業の倒産が、歴史的に少なくなっています。


2021年度の倒産件数は、5,980件で、1964年度の4,931件に次ぐ、57年ぶりの低水準でした。


政府による資金繰り支援政策で、返済能力の低い会社の倒産まで、抑え込んだ側面が大きく、足元では、円安や原材料高などが懸念され、今後は、一転して倒産が増える可能性があります。


2021年度の倒産件数は、前年度に比べ17%減り、コロナ感染拡大が始まって2年連続で減少しました。


負債総額は、1兆1,679億円と3%減り、1973年度の9,055億円に次ぐ48年ぶりの低水準でした。


上場企業の倒産は、2年ぶりに発生しませんでした。


倒産は、新型コロナの影響が大きかった業種を含め、全般的に減少しています。


飲食業の倒産は、22%減の612件、宿泊業は、44%減の71件でした。


運輸業は、7%増の244件と、2年ぶりに前年を上回りましたが、低水準に抑えられています。


倒産が減ったのは、政府主導の資金繰り支援によるところが大きく、コロナで売り上げが減った企業に、実質無利子無担保で融資する「ゼロゼロ融資」の実行額は、2020年から2021年末までで、約42兆円に上りました。


金融機関も返済猶予(リスケ)に応じて、倒産を食い止めてきました。


しかし、倒産は夏場にかけて、底打ちから増加に転じる可能性があります。


懸念材料の一つに借入金の返済があります。


ゼロゼロ融資の元本の据え置き期間は、1~2年が多いとされ、今春頃から返済が本格化している模様です。


業績改善が遅れている企業も多く、元本返済が、資金繰りを圧迫しかねません。


円高や、エネルギー、原材料の価格高騰も、経営に悪影響を及ぼします。


帝国データバンクが2万4,000社に行ったアンケートでは、ウクライナ情勢がマイナスの影響があると回答した企業が50%に及びます。


変異ウイルスの拡大で、ゼロゼロ融資の申請期限が、3月末から6月に延長されましたが、単なる企業の延命策に終わる懸念があります。


足元では、倒産増加の兆候が出始めています。


3月の倒産件数は、593件と前年同月比6%減少しましたが、コロナ関連倒産が205件と、2020年の集計以来、初めて200件を超えました。


倒産集計の対象外ですが、私的整理の一種である、事業再生ADRの申請が目立ってきています。


2月末に申請した調剤薬局大手のクラフトは、コロナ禍での受診控えが響きました。


3月初めに申請した自動車部品大手のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)
は、自動車メーカーの生産が世界的に落ち込んだ影響が出ました。


ゼロゼロ融資は、企業の負担を減らす利点はありますが、一方で、金融による規律が働くなり、事業者側の経営に緩みが生じる懸念があります。


企業が、スムーズな負債圧縮や、事業再生に取り組めるかが、今後の課題となります。

 


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