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円安進行・しかし、株価の上昇は鈍い 【6月9日(木)】

再び、円安が加速してきました。


6月9日、一時1ドル=134円台まで下げ、3ヶ月余りで、一気に19円、円安が進行しました。


しかし、過去の急速な円安局面に比べると、日経平均株価の上昇は、鈍くなっています。


供給制約が続き、円安の恩恵が限られ、原材料高がデメリットになる銘柄もあり、円安の効果が、限定的であることが、浮かび上がります。


外為市場では、円は、独歩安の様相を示しています。


円は、6月7日対ドルで、2円強の円安が進み、2002年以来、約20年ぶりの円安水準をつけました。


対ユーロでも1ユーロ=142円前半と、7年半ぶりの安値まで下落しました。


背景には、米欧と一段と開く金利差があります。


いち早く利上げに動いた米連邦準備理事会(FRB)に続き、欧州中央銀行(ECB)も、6月9日の会合で、利上げを打ち出すと見られます。


ECBのラガルド総裁は、既に5月下旬、7月に利上げが可能になるとの認識を示し、9月末までに、マイナス金利政策を終える考えも示唆しました。


スイス国立銀行(中央銀行)も6月16日の会合で、マイナス0.75%の金利を、マイナス0.5%に引き上げるとの見方があります。


一方、日本銀行だけが、大規模金融緩和を続ける姿勢を崩していません。


黒田総裁は、6月7日の参院財政金融委員会で、強力な金融緩和を強く続けると、改めて強調し、円売りを招く状況が続いています。


過去の円安局面と比べて、株式市場の買いに、勢いがついてこないのが、今回の特徴です。


1日で、2円強の円安が進んだにもかかわらず、6月7日の日経平均株価は、2万7,943円とわずか28円高にとどまりました。


2月末から6月7日までに、円は、対ドルで14%下落しましたが、日経平均株価の上昇は、5%にとどまっています。


輸出業種の代表である自動車は、3%安であり、機械は、4%高でしかありません。


過去の円安局面では、輸出業種が、株高をけん引してきました。


アベノミクス直前の2012年10月末、1ドル=80円から、2013年5月末の100円台まで円安が進んだ局面では、自動車は、68%高、機械も58%高となっています。


今回は、資源高を受けた石油(29%)など一部を除けば、けん引役が不在です。


2月末比で、食品が7%安、小売りが2%安となっているように、円安に伴う原材料高のマイナスが、株価の頭を押さえています。


1円円安・ドル高に振れた場合、経常利益の押し上げ幅は、2009年度に0.98%、2012年度は、0.6~0.7%でしたが、2021年度は0.43%まで低下していると試算されます。


低下しているのは、日本企業が、為替リスクをおさえる対策を長期的に行ってきた結果です。


製造拠点の海外シフトなど、産業構造の変化が進んできた面が大きく、ウクライナ危機やコロナ禍による、供給網の問題は解決されておらず、円安が進んでも、すぐに輸出が増えるという構図にはなりにくくなっています。

 


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