【公式】スナップアップ投資顧問ブログ

日本株式の専門家スナップアップ投資顧問の公式ブログ

アジア各国の外貨準備減少・自国通貨買い 【6月10日(金)】

アジアで外貨準備高が減少する国が、目立っています。


急激なドル高と資源価格が高騰するなか、自国通貨安を食い止めるため、通貨当局が介入を余儀なくされているからです。


外貨準備は、対外債務の支払いや為替介入のため、政府や中央銀行が蓄えている外貨建ての資産です。


残高が大きいほど、対外債務の返済余力が高いと見なされますが、特に信用力が低い国にとっては、外貨準備の大きさは、自国通貨を防衛するためにも重要です。


今年に入り、アジアで外貨準備が減少に転じる国が増えてます。


昨年末と直近を比べると、中国や台湾など、日本を除くアジアのGDP上位10ヶ国全てで外貨準備が減少しています。


10ヶ国合計で5%、3,000億ドル(約40兆円)減少しました。


特に減少のペースが速いのはインドです。


インドの中央銀行によると、保有する外貨準備高は、5月27日時点で6,014億ドル(約78兆円)と、2021年末の6,336億ドルから5%減りました。


2021年9月に6,425億ドルと過去最高に達した後、減少に転じ、今年2月以降は、減少の速度が加速しています。


インドでは、今年になって通貨ルピーの下落が続き、5月には1ドル=78ルピーと過去最安値を更新しました。


FRBの金融引き締めで、ドル高が進んだうえに資源価格の高騰もあり、2021年10~12月の経常赤字が230億ドルと、10年ぶりの大きさを記録しました。


巨額の経常赤字が、さらなるルピー安を招きかねない中、インド当局は、保有する外貨を売ってルピーを買う、為替介入に踏み切った可能性が高いと思われます。

 

通貨安が進み、外貨準備が大きく減っている国の多くは、資源価格が高騰するなか、多くを輸入に頼っています。


エネルギー自給率が2割程度の韓国は、4月末の外貨準備高が4,493億ドルと昨年末比、3%減少しています。


通貨ウォンは、対ドルで5%下落しており、韓国の中央銀行は、為替相場の変動をやわらげるためと、為替介入を認めています。


貿易での対中国依存度が高い、インドネシアやタイも、中国経済失速の影響をうけ、通貨安が進み外貨準備が6~7%減っています。


米ドルに連動するペッグ制を導入している香港ドルは、4月中旬から1ドル=7.85香港ドル付近で張り付いたままです。


米ドル高に加え、中国政府のゼロコロナ政策の影響で経済が停滞、香港ドルへの売り圧力が強まり、通貨当局は買い介入を強いられています。


外貨準備は昨年末から6%減少しており、こうした状況が長く続けば、ペッグ制に限界がくる可能性があります。


アジア各国は、1997年のアジア通貨危機を教訓に、外貨準備高を積み上げてきた経緯があり、トルコやアルゼンチンなどと比べると外貨準備は、依然として豊富です。


しかし、米ドル高が急速に進み、資源価格の高騰も収まる兆しが見えないだけにアジア通貨は売られやすい状況が続くと思われます。

 


※無料で銘柄相談も承っております。
※有力な情報配信も行っておりますので下記URLよりご確認ください。

https://snap-up.jp/