暗号資産(仮想通貨)の価格下落が止まりません。
世界各国で金融引き締めが進み、投資家が資金を引き揚げていることに加え、暗号資産の運用会社の経営不振が背景にあります。
6月16日、暗号資産運用大手、シンガポールのヘッジファンド、スリーアローズキャピタルが、相場の急落で、融資元への追加担保が出せず、取引の一部が清算されたと伝わりました。
スリーアローズキャピタルは、様々な暗号資産関連の会社やプロジェクトに資金を出しています。
法定通貨と価値が連動するように設計されたが、価格が急落して、問題となっている、ステーブルコイン「テラクラシックUSD」の運営会社にも投資したようです。
英フィナシャルタイムズによると、運用資金は一時100億ドル(約1兆3,500億円)ありましたが、最近では40億ドルに減っていると言います。
ホームページ上に投資先として掲載している暗号資産の多くは、2021年のピーク時から8割以上価格が、下落しています。
1,900社程度とされる暗号資産のヘッジファンドの多くは、レバレッジ運用を行なっています。
少ない自己資金を担保に、暗号資産を借り、さらに、借りた暗号資産を担保に暗号資産を調達します。
わずかの自己資金でも多額の取引ができますが、損失が発生した場合は、その規模は大きくなります。
国際決済銀行(BIS)は、2021年12月に「一部のヘッジファンドは、規制のない融資サービスを使って、高いレバレッジをかけている。価格下落の際に資産売却の必要が出て、下落幅を増幅させる。」と警告しています。
ソフトウェア開発の米マイクロストラテジーは、大量のビットコインを保有しています。
単純計算すれば、含み損が10億ドルを超えます。
3月時点の自己資本は、9億ドルにとどまります。
ビットコインを担保にした借り入れもあり、必要にかられてビットコインを売る可能性が、市場では、かなり意識されています。
暗号資産を担保に、ヘッジファンドなどに融資をしている企業に対しても警戒感が広がります。
スリーアローズの取引を清算した1社とされる、米ブロックファイは、6月17日、追証が払えなくなった大口顧客の資産を完全に清算、若しくはヘッジしたと説明しています。
同社は、6月14日に、2割の人員削減を発表しています。
スリーアローズに暗号資産の運用を委託している中堅融資のフィンブロックスは、6月16日、利払いの停止と出金制限を発表しています。
これらの融資事業者は、年利20%程度の高金利で個人投資家から暗号資産を集め、ヘッジファンドや企業に貸し付けたり、自ら運用したりしています。
大手3社で、600万人から約340億ドル(約4兆6,000億円)もの資金を集めています。
業界2位の米セルシウスは、6月13日に利払いを優先させるとして、出金を停止し、取り付け騒ぎを起こしました。
破綻の可能性も、取りざたされています。
足元のビットコインの価格は、2021年11月のピークから、三分の一に落ち込んでいます。
暗号資産の安全性に疑義が生じている中、事業者の信用失墜や資産売却が重なれば、さらなる価格下落が避けられません。
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