【公式】スナップアップ投資顧問ブログ

日本株式の専門家スナップアップ投資顧問の公式ブログ

「サハリン2」日本排除も・輸入量の1割【7月6日(水)】

プーチン大統領が、極東の資源開発事業「サハリン2」の運営を、新会社に移管するよう命じる大統領令に署名しました。


同事業に参画する三井物産三菱商事は、ロシア側の条件をのまないと、株主として残れなくなる事態になりました。


日本の液化天然ガス(LNG)輸入の1割を占める、サハリン2を失えば、電力の供給不安が、一段と危惧されます。


サハリン2のLNG生産量は、年1,000万トンですが、このうち日本は、600万トンを輸入しており、300万トンを発電用燃料に使っています。


大統領令によると、サハリン2に出資する外国企業は、ロシア政府が新会社を設立してから1ヶ月以内に、株式取得に同意するかの通知をロシア政府に提出する必要があります。


株式取得が認められない場合は、株式をロシア企業に売却します。


売却資金は、株主だった企業のロシアの口座に振り込まれますが、資金の引き出しは認められません。


新会社に移行するとなると、現状では、3つのシナリオが考えられます。


1つは、日本勢が新会社に出資する場合です。


現在の運営会社、サハリンエナジーには、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資しています。


しかし、今の出資比率を維持できるかわからず、どんな条件を突きつけられるか不明で、実現のハードルは高い。


2つ目は、出資はせず、調達契約を続けるシナリオです。


例えば、東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAは、2009年から20年間、年150万トン以上をサハリン2から調達する契約を結んでいます。


通常なら、株主が変わっても、こうした契約が、不履行となる可能性は低いのですが、今回は、不透明感があります。


3つ目は、出資もせず、契約も打ち切られる、日本のエネルギー安全保障の面で、最悪のケースです。


仮に、今、供給を切られたら、直ちに輸入が減ります。


不安定な電力供給や、高騰している電力料金への更なる影響は、避けられません。


国内の電力・ガス会社は、対応を迫られます。


LNG輸入の約5割をサハリン2に依存している広島ガスは、情報収集を進めていると言っています。


約1割を頼る、東北電力は、急に輸入が途絶えた場合の対応について、検討に入りました。


サハリン2の代替先は、スポット(随時契約)市場しかなく、日本の追加調達コストは、最大、年2兆円程度になる可能性があります。


6月30日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の直後に、ロシアは、大統領令を出しました。


日本が、権益維持に動けば、G7の結束にくさびを打てます。


撤退を決めれば、日本のLNG調達を不安定にできます。


どちらにしても、西側陣営を揺さぶるのに好材料となると、考えたとしても不思議はありません。

 


※無料で銘柄相談も承っております。
※有力な情報配信も行っておりますので下記URLよりご確認ください。

https://snap-up.jp/