中国の土地収入が減少【7月29日(金)】
中国の地方政府の土地収入が、2022年は7年ぶりに前年割れする公算が大きくなっています。
中国財政省によると、1~6月の収入は前年同期を31%下回りました。
規制強化などで、不動産開発会社が資金不足に陥り、マンションの新規開発に必要な土地の需要が、落ち込んでいます。
地方政府と国の公共事業で、当面の景気浮揚につなげるという習近平指導部の目算が狂いかねません。
中国の土地は、国有地のため、地方政府が入札で、土地の使用権を不動産会社に販売します。
景気対策の減税などで税収が減るなか、地方政府は、土地収入への依存を強めてきました。
地方政府の決算を見ると、2020年の土地収入は、2010年以降で初めて地方税収を上回りました。
しかし、頼みの綱の土地収入が、昨夏から落ち込んでいて、6月は、前年同月比、39.7%減と、2015年5月以来の大きな落ち込みとなりました。
土地収入の先行きを占う、住宅販売は足元で冴えません。
主要30都市のマンションなどの取引面積は、7月1~16日時点で、前年同期比、38%減少しています。
上海のロックダウン解除などで、6月には、前年同月比、6%減までマイナス幅が縮小していました。
マンションの値上がり期待が薄れ、景気悪化で所得不安も高まっていて、住宅販売の本格的な回復には、時間がかかりそうです。
財政省発表の土地収入には、地方政府内のお金のやりくりで、水増ししている分もあります。
2022年に実施した1回目の落札企業のうち、35.5%が融資平台と呼ばれる地方政府傘下の投資会社で、国有企業とほぼ並んでいます。
民間の不動産開発企業は、3割弱にとどまっています。
中国では、地方政府は、認められた債券発行以外の資金調達ができません。
そこで融資平台が別動隊として資金調達を行ない、公共事業などを手がけることが少なくありません。
融資平台に土地を購入させることは、融資平台からのつなぎ融資に近く、建設予定がない土地は、地方政府が買い戻すか、塩漬けになって融資平台の財務を傷つけます。
融資平台の経営が行き詰まれば、最終的に地方政府が、支援せざるを得なくなります。
全人代常務委員会は、2021年10月に土地収入に代わる安定財源として、日本の固定資産税に相当する、不動産税を試験導入することを認めました。
しかし、2022年3月に年内見送りを発表しました。
景気の落ち込みに加え、秋の共産党大会を控えて混乱を避けたもようです。
土地財政の改革が先送りされ、地方の財政難は一段と厳しさを増しています。
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