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中国・住宅ローンの支払い拒否が続出 【8月8日(月)】

中国で、住宅購入者のローン支払い拒否が、続出しています。


不動産会社の建設資金不払いで、工事が中止となり、物件引き渡しのめどが、立たないことが理由です。


不動産会社の経営悪化に拍車がかかり、1,870億ドル(約25兆円)あるとされる、不動産会社の外貨建て債券のデフォルトリスクが、再び、高まっています。


「9月末までに工事を再開しなければ、全ての購入者が住宅ローンの返済を停止する」と7月15日、上海郊外の浦東新区のマンション「君御公館」の購入者は、こう表明しました。


工事現場は、コンクリートの骨組みが放置され、人けがないままで、期限の9月引き渡しは、絶望的な状況です。


主要売主の1社である華夏幸福基業は、資金繰りに行き詰まり、たびたび社債の返済を見送っていて、期限まで返済できていない債務が、461億元(約9,200億円)に上っています。


このまま工事を再開できなければ、購入者が、住宅ローン支払いを拒否する可能性は高いと思われます。


住宅ローンの不払いが続けば、銀行は、不動産会社への融資を絞り込みます。


そうなれば、資金繰りに窮する不動産会社が増加し、工事中止が拡大し、販売不振に拍車がかかり、経営が悪化するといった負の連鎖が広がります。


不動産会社の苦境に追い打ちをかけるのが、社債の格下げラッシュです。


2021年6月以降、海外大手格付け会社3社の中国の不動産業を対象とした格下げが、262回、一方、格上げは、12回しかありません。


今後の最大の焦点は、銀行への波及リスクです。


住宅ローンの支払い拒否が、銀行に与える影響は、最大1兆7,500億元(約35兆円)とされ、住宅ローン残高の5%に足りません。


足元のリスクは、管理可能と見られています。


問題は、支払い拒否が、加速度的に増える可能性があることです。


香港の復星恒利証券の推計によると、工事が未完成のまま、販売された物件の面積は、74億㎡と、上海市全体(63億4,000万㎡)を上回る大きさに膨らんでいます。


これらが、工事中止となり、ローン支払い拒否につながるリスクを抱えています。


2021年末で、既に、工事が停止している住宅の15倍の規模です。


経済への影響を避けるため、中国政府は、救済策を検討しています。


7月19日、河南省政府は、救済ファンドの設立を表明し、資産処理などを通じて、難局を打開すると述べています。


ロイター通信は、7月25日、中国が最大3,000億元規模の不動産基金を設立し、融資などで、不動産開発会社を支援すると報じました。


しかし、社会の安定を最優先する中国政府は、住宅購入者、不動産会社の取引先、国内投資家の保護を優先する姿勢を鮮明にしていて、海外の投資家の救済は、二の次です。


中国経済は、ゼロコロナ政策などの影響で、失速しています。


海外投資家の懸念を放置したままだと、中国企業の外貨調達のハードルは上がり、中国経済を、さらに下押しする恐れがあります。

 


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