米国・麻薬鎮痛剤「オピオイド」危機【10月6日(木)】
米国で、麻薬鎮痛剤(オピオイド)の乱用による死者の増加が止まりません。
2021年の犠牲者は、10万人以上に達し、過去の薬物問題をはるかに上回ります。
当初は、病院での処方薬による被害が広がり、処方が規制された後は、致死性の高い違法オピオイドが、麻薬としてまん延する悪循環に陥りました。
米疾病対策センター(CDC)は、2017年、オピオイド中毒による米国の経済損失を年1兆ドルと推定しました。
2016年4月に歌手のプリンスさんがオピオイドの過剰摂取で死去し、世界中に問題が知れ渡りました。
2017年10月にトランプ大統領が、オピオイド危機で、公衆衛生上の非常事態を宣言しました。
それでも死者は、2017年の4万7,000人から2021年には10万7,622人と2倍以上に膨らみました。
発端は1995年にさかのぼります。
製薬会社パデュー社が、鎮痛剤オキシコンティンの販売承認を受け、効き目が長く、常用性が低いとうたい、慢性疼痛の患者に売り込み攻勢をかけました。
処方量管理が甘いまま、中毒に陥る患者が急増しました。
問題が表面化し、パデュー社幹部が依存の危険性を偽ったことを認めた2007年には社会問題に発展しました。
米当局は、2016年にガイドラインで、処方を厳格化しました。
製薬会社や医薬品流通会社、薬局大手は、依存症患者や遺族からの訴訟に直面し、流通は急速に縮小しました。
ところが患者の多くが、より安価に生産できる合成オピオイド系の違法薬物に流れました。
代表的なフェンタニルはモルヒネの50~100倍効き目があり、ごく少量でも過剰摂取のリスクがあります。
犯罪組織が他のドラッグに水増しでフェンタニルを混入したことも事態を悪化させました。
意図せぬオピオイド乱用が広がり、当初は白人中心だった犠牲者が黒人やマイノリティ、若年層に広がりました。
ストリートドラッグ(違法薬物)は、多くの場合フェンタニルに汚染されていて、使用に死の危険が伴います。
20年余りで100万人以上の犠牲者を出したオピオイド禍は、いまだに収束の見通しが立っていません。
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