国の奨学金事業は、日本学生支援機構が運営し、返済不要の給付型と返済が必要な貸与型があります。
2021年度の利用実績は、給付型(総額1,436億円)が32万1,000人、貸与型(8,663億円)が115万8,000人。
貸与型の利用者は、大学、短大生の3.2人に一人にあたります。
卒業後の収入に応じて返済する「出世払い」奨学金をめぐる議論が、本格化しています。
10月12日の有識者会議で、文科省は、出世払い型奨学金は、高度人材が安心してチャレンジできる仕組みとして必要であると導入目的を説明しました。
新たな奨学金は、大学院で2024年度に導入される予定で、研究の担い手支援として期待されます。
英国などの出世払い型奨学金は、国が授業料相当額を立て替えて大学に支払い、卒業後に年収が、一定水準を超えた場合に返済が始まります。
出世払い型奨学金の狙いは、一定の収入が得られるまで、返済が重荷にならないという安心感を与えることです。
日本の貸与型奨学金は、一般的に、卒業後すぐに返済が始まります。
在学中は経済負担が軽くなる一方で、将来の返済を不安視して大学院進学をあきらめる学生が少なくありません。
大学4年生を対象とした文科省の調査によると、大学院に進学しない理由として、4割が経済的理由を挙げています。
大学院進学希望者の41%は、出世払い型奨学金を利用したいと回答しています。
課題は返済できる収入が確保できるかです。
就職した大学院卒の平均収入は、30~34歳で609万円で、学部卒よりも100万円強高いのですが、博士課程修了者は、非正規雇用になる割合が高く、キャリアに見合った収入は得られていないとみられます。
2018年度に博士課程を修了した人の26%は、2020年時点で、年収が300万円未満でした。
米国で、企業に採用された博士の年収の中央値は、物理科学分野で11万ドル(約1,600万円)、生命科学分野で10万2,000ドル(約1,500万円)とされます。
日本は、米国と比べると博士人材の待遇は厳しいものがあります。
日本は、引用論文数が減少するなど、研究力低下が指摘され、イノベーションの担い手となる高度人材の育成が求められています。
しかし、人口100万人当たり博士号の取得者は、2019年度は120人で、2008年度(131人)から1割減りました。
米国や英国、韓国は300人前後に達しています。
大学院に進む人材を増やすには、奨学金による後押しとともに、出口となるキャリアパスの確保も必要です。
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