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9月・消費者物価が31年ぶりの大幅上昇【10月26日(水)】

総務省発表の9月の消費者物価上昇率は、生鮮食品を除いて3.0%と、消費増税の局面を除けば、31年ぶりの高い水準となりました。


9月の品目別の上昇率と全体への寄与度は、電気やガスなどのエネルギーが16.9%で、1.28ポイント、生鮮食品を除く食料が、4.6%で、1.03ポイントでした。


この二つだけで、2%超のインフレになっています。


いずれも輸入依存度が高く、国際商品市況と為替相場の影響を受けやすい品目です。


ガソリン・灯油の価格を政府が、元売り補助金で抑えていますが、大和総研の試算によると、物価全体を押し下げる効果が、0.7ポイントあります。


この政策がなければ、インフレ率は3%台後半になっている計算になります。


海外発のコスト高の波が、日本の物価を押し上げる構図は、当面続く公算が高いと思われます。


輸入物価の上昇は、数か月の時間差で、本格的に、消費者物価に波及するからです。


8ヶ月のタイムラグがあると仮定し、今年1月の輸入物価をもとに、9月の消費者物価の上昇要因を分析すると、消費者物価上昇率3.0%のうち、0.4ポイントが為替、1.0ポイントが資源価格と試算できます。


2021年8月の輸入物価を映す、2022年4月の消費者物価上昇率2.1%は、為替が0.1ポイント、資源価格が1.0ポイントでした。


ロシアがウクライナに侵攻した2月以降、資源価格が急騰しましたが、足元では落ち着きつつあり、原油は、侵攻前に近い水準に下がっています。


円相場は、10月21日には一時1ドル151円台と、32年ぶりの安値を更新しました。


9月までの輸入物価をもとに、先行きを試算すると、円安のよる消費者物価の押し上げ効果は、12月に、0.6ポイントに拡大します。


2023年5月には、1.1ポイントとなり、資源高要因の0.8ポイントを上回る計算になります。


足元では、歴史的な円安が進んでいます。


この先資源価格が下落しても、為替要因が相殺して、国内の物価高が続く可能性があります。


実際、10月に入って食品の値上げラッシュが続いています。


現状のインフレは、欧米に比べれば鈍く、英国やドイツは、物価上昇率が2桁に達し、米国も8%台で高止まりしています。


日本の問題は、デフレ体質から脱し切れていないことです。


政府・日銀が経済の好ましい姿として描く、物価の安定的な上昇に欠かせない賃金の上昇や需要の回復は鈍いままです。


日本経済は、インフレとデフレが併存しています。


増税時を除いて消費者物価上昇率が、最後に3.0%を記録したのは、1991年8月です。


1990~91年の湾岸戦争による原油高騰の影響が大きく、3%台が10ヶ月続きました。


ただ、バブル経済の余韻で賃金が伸び、まだ、需要が旺盛でした。


その後、30年あまり続いたデフレ色を拭い去れるかは、見通しが立ちません。


需要が、物価をけん引する望ましい姿に近づくには、一時的な補助金に頼るのではなく、生産性の向上を伴う構造的な賃上げが必要になります。

 

 


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