リチウムが最高値を更新・昨年末の2倍【11月1日(火)】
電気自動車(EV)用電池の主原料となる、リチウムの価格が一段と上昇し、最高値を更新しました。
リチウム相場の指標となる、炭酸リチウム価格(中央値)は、10月26日時点で、1トン54万7,000元(約1,100万円)と、15営業日連続で上昇しました。
2021年末からの上昇率は、99%に達し、データを遡れる2016年2月以降の最高値を更新しました。
6月頃から値上がりし、10月に入って、上昇が加速しています。
背景には、中国のEV生産の急速な拡大があります。
中国では、7月末、EV購入時の免税措置が延長されました。
9月の中国のEV販売は、前年同月比、93.9%増の70万8,000台でした。
生産も、約2.1倍の75万5,000台と、急増しました。
中国では、日本円にして100万円以下の低価格帯のEVが、人気を集めています。
低価格帯EVに搭載する電池の多くは、高級EVに使用される、ニッケルやコバルトを使わない「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」です。
高価なニッケルやコバルトを使う「三元系リチウムイオン電池」に比べ、航続距離が短い代わりに、価格は安くすみます。
中国では、LFPのシェアが急拡大し、台数ベースでは、約6割に達しています。
リチウムは、LFPにも三元系リチウムイオン電池にも必要です。
三元系にしか使わない、ニッケルやコバルトは、中国のEV生産拡大の影響は、限定的です。
2021年末比の価格は、ニッケルが9%高、コバルトは24%安にとどまります。
中長期的に見ても、リチウムの需要拡大は続きます。
2050年のリチウム需要は、2020年に比べ22倍と予測されます。
ニッケルの2.7倍、コバルトの5倍に比べて、伸びが際立ちます。
足元でも、リチウムの需要拡大に、供給が追いついていません。
産出地のオーストラリアでは、過去の価格低迷期に鉱山の閉鎖が相次ぎ、増産が本格するのは、2023年以降と見られます。
チリなど、南米の塩湖から産出されるリチウムも、環境破壊を懸念する住民の反対運動が強く、大幅な増産は、簡単ではありません。
リチウムは、用途がほぼ電池用で、他の用途の需要動向に価格が左右されにくいので、生産が多少増えても、価格上昇が続く可能性が高いと思われます。
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