中東欧諸国・中国離れの動きが進む【11月4日(金)】
2010年代前半、中欧・東欧諸国は、経済協力への期待から中国に接近しました。
中国と中・東欧16ヶ国は、2012年に経済協力を進める目的で「16プラス1」という枠組みを設けました。
ポーランドやハンガー、ルーマニアなど、域内のほとんどの国が参加し、2019年にギリシャが加わり「17プラス1」となりました。
中国は、この枠組みで毎年のように首脳会合を開き、インフラや技術協力などを材料に中・東欧諸国を取り込もうとしてきました。
ドイツやフランスは、EUが中国によって分断されることを危惧し、「17プラス1」に深入りしないよう各国に求めてきました。
しかし、ここにきて構図が変わってきました。
発端は、2021年5月、リトアニアが脱退し、中国との訣別に動いたことです。
2022年8月には、ラトビアとエストニアが離脱を宣言し、「17プラス1」が「14プラス1」に縮小しました。
これにチェコも追従する兆しがあります。
今年に入って、中国離れが続いている大きな理由は、ロシアによるウクライナ侵攻です。
地理的に近い中・東欧諸国は、ロシアの脅威に極めて敏感です。
ロシアのウクライナ侵攻を中国が非難せず、いまだにプーチン政権と良好な関係にあることに、多くの中・東欧諸国は怒りを覚えています。
侵略国ロシアを中国が擁護していることに、反発と不信感を深めているのです。
焦った習近平政権は、4~5月、主要8ヶ国に政府特使を送り、ウクライナ危機での中国の立場を釈明して回りました。
しかし、中・東欧の対応は、中国の特使に対して冷たく、特にポーランドは外相はおろか、外務省首脳も面会を拒みました。
対中国不信は、経済交流にも影響が出ています。
ルーマニア政府は、中国企業による、同国内でのインフラ事業などを厳しく制限する方針を固めました。
2020年には、中国企業と大筋合意していた原発建設プロジェクトを凍結し、米国企業と契約し直しています。
中国への警戒感が、一因と見られますが、そもそも中・東欧諸国の中国熱は、ウクライナ危機前から冷める兆しはありました。
同地域への中国の投資が進んでいないからです。
2020年の中国の対欧州直接投資のうち、中・東欧向けは3%にすぎません。
米中対立の激化も、中国離れの要因です。
2017年発足したトランプ政権は、中・東欧諸国に、ハイテク分野からの中国排除に協力するよう迫りました。
対米関係の悪化を避けたいポーランドやチェコ、ルーマニア、エストニアは、米国の要請を受け、2019~2020年に「5G」から中国ファーウェイを排除する方向に動きました。
ハンガリーやEU未加盟国のセルビアなど、依然として中国寄りの国はあるものの、中・東欧諸国は、中国から離反する方向に動き出したと言えそうです。
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