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陸上養殖・大手水産会社などが事業化【1月11日(水)】

水産大手などが、陸上養殖ビジネスを本格化します。


ニッスイは、2025年をめどにサバの陸上養殖を事業化します。


新興メーカーのARK(アーク、東京都渋谷区)は、管理が手軽にできる養殖装置を開発しました。


2021年度の水産白書によると、世界の食用魚介類の一人当たりの消費量は、この50年で約2倍になりました。


水産資源の奪い合いは激しく、日本勢が買い負ける場面も増えています。


安定的に調達できる養殖の重要性が増していますが、現在主流の沿岸養殖は、エサなどで海が汚れたり、飼育場所が限られるのが難点でした。


陸上養殖は、環境への負荷が小さいうえ、設置場所の自由度が比較的高く、ノルウェーなどでは普及しつつあります。


国内でも、水産大手や新興企業が、事業化に向けて動き出しました。


水産庁によると、2021年の陸上養殖生産量は、2,356トンと養殖全体(96万4,000トン)から見ればわずかですが、今後の拡大が見込まれています。


ニッスイは、子会社の弓ヶ浜水産(鳥取県境港市)の陸上養殖場で年間250トンのマサバの出荷を目指します。


マサバは、消費量が多く、出荷までの期間が、1年ほどと短いことから、早期に収益化できると判断しました。


水槽の水を循環させながら育てる循環式を採用しますが、循環式によるマサバの陸上養殖は国内初です。


沿岸養殖で問題になる寄生虫アニサキス」が魚につく恐れが少なく、生食にも対応できます。


2021年11月に初めて水揚げし、地元のスーパーなどに出荷を始めました。


水質管理では、日立造船と連携し、同社の水処理技術を活用し、エサやフンから出るアンモニアバクテリアで除去し、水質を高め生産量を安定させます。


マルハニチロは、2022年に三菱商事と組み、富山県でサーモンの陸上養殖を手がける共同出資会社「アトランド」を設立しました。


生サーモンは、ノルウェーなどからの空輸に頼っていて、陸上養殖すれば、販売増が見込めると判断しました。


2025年に養殖施設の稼働を始め、2027年から国内向けに、2,500トンの出荷を目指します。


新興企業でも、参入する動きが出ています。


ARKは、手軽に管理できる装置「小型閉鎖循環式陸上養殖システム」を開発しました。


設置面積が9.99平方メートルのユニットハウスに、水槽やろ過装置を収めました。


建築申請が不要で、小規模の水産事業者でも、陸上養殖を手掛けやすく、IoTで稚魚の育成を管理でき、給餌や水槽内の掃除を自動化しました。


電源に太陽光発電を使い、CO2の排出も減らせます。


価格は1.000万円以下で、陸上養殖の一般的施設の100分の一以下です。


エビの養殖から始めていて、2022年8月から実機を納入、すでに7台導入しました。


課題は、魚の価格です。


生産コストを引き下げつつ、消費者に付加価値を認めてもらうことが、販売量を増やすために求められます。