日銀総裁が交代・リフレ派が減少【2月21日(火)】
日本銀行の正副総裁から、積極的な金融緩和や財政出動を求める、リフレ派が姿を消します。
後ろ盾だった安倍元首相の急死もあり、リフレ派の影響力が低下しています。
岸田首相は、リフレ派とは距離を置いているとの見方も出ています。
リフレとはリフレーションの略で、物価が下落するデフレでもなく、インフレでもない緩やかな物価の上昇の状態を指します。
金融政策や財政政策を通じて、リフレにすることを目指す政策をリフレ政策と言います。
特に、世の中に出回る資金の量を増やすなどの方法で、人々が予想する将来の物価水準を示す期待インフレ率を押し上げ、デフレから脱却しようとする考え方を指すことが多いようです。
「大規模緩和継続ありきとはいかなくなるだろう」と、ある日銀関係者は、金融政策の先行きを予測します。
政府は2月14日、日銀総裁に植田和男氏、副総裁に生え抜きの内田真一理事、元金融庁長官の氷見野良三氏を起用する人事案を国会に提示しました。
正副総裁候補の顔ぶれで注目されたのは、リフレ派の起用の有無でした。
総裁候補の植田氏は、著名な経済学者で、量的緩和の効果に否定的な見方を示すなど、リフレ派とは距離があります。
金融政策の方針を決める、政策委員会は、正副総裁3人と6人の審議委員で構成されますが、現在リフレ派とされるのは、副総裁の若田部昌澄氏、安達誠司氏、野口旭氏の3人です。
若田部氏は、3月19日に任期満了を迎えます。
このまま正副総裁人事が、国会で承認されれば、10年ぶりにリフレ派の副総裁がいなくなります。
政策委員会全体では、リフレ派はこれまでの9人中3人から2人に減ります。
リフレ派の台頭は、2012年の第2次安倍政権発足時にさかのぼります。
金融緩和に慎重な日銀の姿勢を批判していた安倍氏は、インフレ目標を重視する黒田東彦氏を総裁に選んだほか、リフレ派として知られる有識者を日銀の政策委員会の委員として送り込みました。
2018年4月時点で、リフレ派とされる政策委員は、9人中4人、緩和に積極的な黒田氏を含めれば、過半がリフレ派でした。
2022年7月の安倍氏の急死で、リフレ派の存在感が徐々に薄まりました。
岸田政権は、同月の日銀審議委員の人事で、リフレ派の片岡剛士氏の後任に緩和の副作用に警鐘を鳴らしていた高田創氏を選びました。
2022年の12月、日銀は、長期金利の許容変動幅を拡大する政策修正に踏み切りました。
植田氏は、2022年7月日経新聞の「経済教室」に「日本、拙速な引き締めをさけよ」との題名で寄稿し、金利の引き上げに慎重な姿勢を見せました。
次期総裁への起用方針が伝わった10日も、記者団に金融緩和の継続が必要との考えを示しました。
当面は、金融緩和を継続する構えと見られますが、副作用を無視した政策運営にもリスクがあります。
リフレ派の影が薄れた日銀内の空気がどう変わるか、市場が注視しています。
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