上場企業の自社株消却・過去最多の271社【4月27日(木)】
上場企業が、積極的に自社株消却を行っています。
2022年度の償却件数は、2021年度比、18%増の302件と過去最多でした。
自社株は、企業が自ら保有する株式で、「金庫株」とも言います。
議決権はなく、貸借対照表の株主資本のマイナス項目として計上されます。
役員や従業員への報酬にあてたり、M&Aの際の対価として、使うことができます。
消却すれば、発行済み株式数がその分減ります。
2022年度の上場企業の自社株消却は、前年度比45件増の302件、社数ベースでは、33社増の271社と、ともに過去最多でした。
企業が自社株を積極的に償却している要因は、まず自社株の市場への再放出懸念を払しょくするためです。
自社株買いを行うと株主資本が減額され、純利益を自己資本で割った自己資本利益率(ROE)が改善されます。
2022年度の自社株買いは、前年度比17%増の9兆4,000億円に達し、過去最高を記録しました。
企業が保有する自社株を消却すれば、再び、市場に放出されることがなくなり、ROEが低下する恐れがなくなります。
もう一つは、2022年の4月の市場再編で上場維持基準として、流通株式比率が、導入されたことです。
流通株式は、企業の自社株や大株主、役員の保有株式などを除いた株式で、これを上場株式数(自社株を含む発行済み株数)で割るのが、流通株式比率です。
自社株を消却すると計算式の分母が小さくなり、比率が上昇します。
プライム市場で35%以上、スタンダードとグロースで25%以上が、求められており、上場維持基準を達成するための自社株消却は、スタンダード市場で相次いでいます。
大村紙業は、流通株式比率が22%と、スタンダードの基準に届かなかったため、上場基準を満たすため、昨年9月、発行済み株式の27%にあたる132万株を消却しました。
株価引き上げ効果を高めようと、自社株買いとセットで、償却を発表する企業もあります。
三菱商事は、2022年11月、700億円を上限とする自社株買いを行い、2023年3月31日に全て償却すると発表しました。
資本コストを考えれば、株式を使うより、社債や銀行借り入れ方が有利なので、自社株がM&Aの対価として使われることは多くありません。
M&Aなどに使う予定がないのならば、償却して欲しいとという投資家の要請も、自社株消却を後押ししています。
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