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大手旅行会社・業績の回復が遅れています【6月1日(木)】

国内旅行客が回復していますが、旅行大手の業績回復は鈍いままです。


コロナ禍で業績を支えたワクチン接種関連事業などの特需が消失したことに加え、消費者は、ネット申し込みに一段とシフトし、店舗型の旅行会社は、コロナ後も厳しい状況が続いています。


JTBの2024年3月期の営業利益見通しは、前期比60%減の134億円でした。


日本旅行を傘下に持つJR西日本は、今期、「旅行・地域ソリューション業」の営業利益を前期比33%減の40億円を見込みます。


東武トップツアーズを傘下に持つ東武鉄道も、旅行業の営業利益見通しを66%減の57億円を見込みます。


減益幅が大きい直接の要因は、コロナワクチン接種会場や陽性者の治療施設管理など自治体などからの受託業務の減少です。


JTBの2023年3月期の営業利益が336億円となったのも、受託業務が寄与しました。


こうした業務は今期は大幅に減少します。


ただ、旅行需要が回復しているにもかかわらず、本業の旅行事業自体が伸び悩んでいます。


パック旅行などの「旅行商品ブランド」の取り扱い人数は、2023年3月で国内旅行で2019年の8割の水準、海外旅行では、7%の水準です。


2024年3月期の売上高見通しは、JR東日本やANAホールディングスが、2019年3月期の90~96%まで回復するのに対し、JTBは、81%にとどまります。


人の移動需要の回復を、旅行会社がつかまえきれていません。


コロナ禍で、各社が固定費削減のため店舗網を縮小したことが、背景のひとつにあります。


2020年3月から2023年3月にかけて、JTBは、480店から297店舗に縮小、KNT-CTホールディングスは、店舗数を1/4の30店舗まで減らしました。


そのような状況のなかで、消費者のネットシフトが進みました。


日本交通公社の調査によると、国内旅行の予約でよく使う方法は、「ネット専門の旅行予約サイト」(52.9%)が最も多く、「宿泊施設のホームページ」(30.7%)や「旅行会社のホームページ」(30.2%)が続き、「旅行会社の店舗」は、23.4%にとどまりました。


2018年度と比べて、旅行予約サイトが6.5ポイント伸びたのに対し、店舗は4.4ポイント減少しました。


旅行会社にとって国内旅行より店舗の強みが発揮できる海外旅行の回復が遅れているのも大きな痛手です。


JTBでは、2023年度の海外旅行の市場規模は、2019年度の52%にとどまると予想しています。


足元の円安も懸念材料となります。

 

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