ウクライナ危機が、宇宙開発に波及しています。
ロシア国営会社ロスコスモスが、「ソユーズ」での英国衛星の打ち上げを、事実上拒否しました。
ロシアは、国際協調の象徴である国際宇宙ステーション(ISS)では、運営の協力拒否をちらつかせています。
英ワンウェブは、ロシアのバイコヌール宇宙基地で予定していた、通信衛星の打ち上げを延期すると発表しました。
同社は、648基の小型衛星を打ち上げて、巨大な通信ネットワークをつくり、インターネットサービスの提供を目指していて、英国政府やソフトバンクグループが出資しています。
当初は、「ソユーズ」を使い、衛星36基を3月5日に打ち上げる予定でした。
しかし、ロシア国営宇宙開発会社ロスコスモスが、衛星が、非軍事目的であることを示すこと、英国政府が、出資を引き揚げることを打ち上げの条件に提示してきました。
英国政府の出資引き揚げは、受け入れ難い条件で、ロシアが事実上、打ち上げを拒否した格好です。
近年は、米中の宇宙開発競争が注目されますが、ロシアは、「ソユーズ」の打ち上げ実績などを誇る、宇宙大国です。
旧ソ連時代、1957年に世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、1961年にはガガーリンの世界初の有人飛行を実現しました。
冷戦時代に開発が始まった「ソユーズ」は、宇宙大国ロシアの技術の代表格です。
各国は、長く「ソユーズ」の力を借りて、宇宙開発を進めてきましたが、ロシアは、宇宙へのアクセス手段を外交カードに、揺さぶりをかけています。
南米、フランス領ギアナにある、欧州の打ち上げ拠点からも「ソユーズ」を打ち上げていますが、ロスコスモスは、現地の打ち上げ要員など、技術者を撤収すると表明しました。
2022年春に予定されている、欧州の測位衛星の打ち上げは、難しい状況になってきました。
また、欧州宇宙機関(ESA)とロシアが、2022年秋に共同で予定していた、火星探査計画も延長が、濃厚となっています。
ロシアが、宇宙で強い影響力を持つもう一つの分野が、国際宇宙ステーション(ISS)の運用です。
ロスコスモスの社長は、米国などの、対ロシア制裁の表明を受け、ロシアがISSの宇宙での高度維持を担っていることに言及し、国際協調の象徴の場であるISSを、我々との協力を閉ざすならISSが軌道を外れて、地球に落下する事態を誰が救うのかと脅迫の材料にしました。
ロシアは、「ソユーズ」での、地上とISSとの人員の往還も担っています。
3月末にも、米国の宇宙飛行士らを乗せた「ソユーズ」による地球への帰還が、予定されていて、対応が気がかりです。
現在の宇宙ビジネスや、宇宙開発は、ロシアを含めた、良好な国際関係のなかで築かれてきました。
2011年に米国スペースシャトルが退役した後も、「ソユーズ」の存在があり、各国の宇宙飛行士をISSに運ぶことができました。
「ソユーズ」を衛星の打ち上げに利用してきた企業や研究機関も多く、今後も「ソユーズ」での衛星の打ち上げを予定している企業もあり、状況が気になるところです。
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