コンテナ船のスポット(随時契約)運賃相場が下げています。
上海発米国西海岸行きは、直近高値から1ヶ月余りで3割安くなりました。
国際的なコンテナ船運賃市況の目安となる上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は、7月5日につけた直近高値の3,733から8月30日時点で2,963と、8週間で2割以上下げました。
米国西海岸行きは、2023年末から3倍程度に急騰し、コロナ禍で物流が混乱した2022年の最高値に迫っていました。
中東情勢が緊迫し、コンテナ船各社の多くが紅海・スエズ運河の航行を取りやめ、南アフリカの喜望峰回経由の遠回りで運行しています。
世界的に輸送距離が伸び、船腹の不足感が強まりました。
米国向けの輸送需要も、市況を押し上げました。
アジアから米国への荷動きは、7月まで10ヶ月連続で前年を上回り、7月の輸送量は、同月の過去最高を記録しました。
ここにきて運賃が下落しているのは、米国向けの荷動きがピークアウトし、船腹需要が緩むとの観測が強まったためとみられます。
全米小売業協会の予測では、コンテナ船での輸入量は、7、8月がピークで12月にかけ減少が続くと見ています。
米国の景気減速が高まるなか、ピーク後の荷動きを押し下げるとの警戒も強まっていますが、景気が予想以上に減速すれば、消費財や産業資材の動きが鈍り、コンテナ船輸送をさらに停滞させる可能性があります。
一方で、7月世界の船腹量は、2023年末比で6%増えました。
新造船の竣工で、喜望峰への迂回による船腹不足は解消に向かっています。
今後新たな竣工が進めば、船の供給過剰になる可能性もあります。