企業間の輸送に使う、貸し切りトラックの運賃への燃料高の転嫁が、遅れています。
コロナ禍以前より低い運賃水準の期間が、1年半も続いています。
産業界では、原燃料高の転嫁が進んでいますが、中小零細企業が大半を占める運送業会では、過当競争が値上げを阻んでいます。
東京~大阪間のチャーター料金は、現在8万5,000円です。
コロナ前は、8万7,500円程度で推移していましたが、コロナ禍での荷動きの停滞で、2021年初めに運賃が下落し、横ばいが続いています。
輸送仲介システムの成約運賃指数(2010年4月=100)は、8月が122と、昨年8月と同水準でした。
コロナ前の2019年8月(130)に比べ、8ポイント低くなっています。
貨物の輸送需要の回復が遅れているいることが、大きな要因です。
コロナからの経済再開が進みつつありますが、7月の一般貨物の輸送量は、前年同月比0.9%減少しました。
需要の停滞だけでなく、過当競争に伴う安値受注が続いていることも、燃料費の運賃への転嫁を阻んでいます。
値上げ交渉をすると、より安い会社に切り替えると言われるケースも、多くあります。
運送会社は、全国に6万社以上ありますが、その96%が、従業員100人以下の企業です。
下請け、孫請けと続く多重構造で、元請けが運賃を引き上げても、下請けへの波及は停滞しがちです。
輸送会社と荷主を結びつけるサイトも普及していますが、そこでも安値での受注競争があり、運賃は、上がりにくくなっています。
運賃が、コロナ前を下回る半面、燃料費は高止まりしています。
トラックに使われる軽油も、政府による価格抑制の仕組みはありますが、コスト上昇分が大きすぎて、焼け石に水です。
人件費や電気代、中古車価格も上がっていて、経営が立ちいかなくなる例も出始めています。
8月の運送業の倒産件数は35件と、昨年8月の2倍以上になっていて、6ヶ月連続で前年同月を上回り、今年最多となりました。
ドライバーの時間外労働規制が強化される法律が適用される、2024年が迫り、運送会社は、ドライバーを増やすなどの対策が、必要になります。
運賃が上がらないなか、コスト増加要因が重なり、体力のない企業の淘汰が進むとみられます。
日本の物流を支えてきた、トラック輸送網の維持に支障が出る恐れもあります。
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