液化石油ガス(LPG)の輸入コストが、上昇する可能性があります。
パナマ運河庁が、7月、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の通航料を、2023年から段階的に引き上げると、決定しました。
2025年のLPG船の通航料は、現行に比べ、約9割上がります。
LPGの卸値に転嫁されれば、最大の需要家である、家庭の負担が大きくなります。
LPGは、家庭の利用が多く、プロパンは、主に都市ガスが普及していない地域での厨房用、給湯用、空調用に使われています。
全使用料の8割を輸入に頼っていて、年間1,000万トンに達しますが、その7割弱は、米国からの輸入です。
米国のLPGは、ヒューストンから積み出すため、日本へはパナマ運河経由が最短となります。
南アフリカの喜望峰経由だと、パナマ運河経由に比べ、航海日数が10日以上多くかかり、燃料代がかさみます。
日本は、LPGの調達先を、政情不安のある中東から米国にシフトしてきました。
2007年度に9割だった中東産の比率は、2021年度には、約1割まで低下しています。
日本LPガス協会によれば、2021年度の米国からの輸入量は、LPGタンカー換算で152隻ほどになります。
1ドル=135円とすると、パナマ運河の通航料引き上げは、約100億円の負担増となります。
LPGの卸値に占める、海上輸送費の割合は、1~3割と見られます。
国内の卸値は、1キロ171円程度、1963年以降最高値だった5月に比べれば、7%安くなっていますが、なお高水準にあります。
LPG元売り各社は、パナマ運河の通航料引き上げによって、LPGの調達コストが上がれば、値上がりを自社では吸収しきれないと見ており、他社の状況を見ながら、卸値への転嫁を検討しているもようです。
卸値が上がったら、多くの販売事業者は、小売価格に反映させる可能性が高いと思われます。
販売事業者の大半は、中小零細企業で経営基盤が弱く、多くの事業者は、コスト増を受け止めきれない可能性があります。
消費者の負担が増す一方、販売量が減れば、事業者にとって打撃となります。
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