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欧州連合(EU)・ロシア産石油製品の輸入禁止【2月17日(金)】

欧州連合(EU)は、2月5日からロシア産の石油製品の輸入を禁止しました。


石油製品は、原油から生産されますが、LPG、ガソリン、ジェット燃料、軽油重油アスファルトなどがあります。


2022年12月のロシア産原油の禁輸に続く追加制裁です。


EU諸国が輸入したロシア産の石油製品は、ウクライナ侵攻前の2021年が日量120万バーレル、2022年は140万バーレル前後と見られます。


EUが、2022年6月、ロシア産原油の禁輸を発表した後、12月の発動まで在庫確保のため駆け込み輸入が続いていました。


EUがロシアから輸入した石油製品の中心は、軽油(ディーゼル燃料)で、全体の5割以上を占めます。


禁輸によって軽油が不足する事態が懸念されましたが、2月5日まで在庫の積み増しが予想以上に進み、過去5年間の平均水準を維持しています。


もう一つ懸念されていたのは、軽油やガソリンの製造に欠かせない減圧軽油(VGO)という石油製品の不足です。


南欧の製油所のほとんどがロシア製を使っていました。


この問題でEUは、一部の国については、ロシア製VGO輸入を制裁の対象外としました。


当面のパニックは避けられそうですが、欧州の石油市場の安定は、ロシア以外からの調達に左右されそうです。


軽油やジェット燃料は、インドと米国が欧州向けの輸出を増やしています。


インドのロシアからの原油輸入は、ウクライナ侵攻前の日量5万バーレルから最近は125万バーレルに増えています。


インドはロシア原油を国内で精製し、一部を欧州に輸出します。


UAEやサウジアラビアが、割安な価格でロシア産の石油製品を入手し、自国産の石油製品を国際価格で欧州に売る動きも出ています。


ロシアは、最近トルコや北アフリカ、西アフリカ諸国への石油製品の輸出を増やしています。


国内需要に充てるほか、安いロシア産と自国産をブレンドして欧州向けに輸出する展開もあり得ます。


EUが輸入禁止にする分の石油製品すべてを、ロシアが他の地域への輸出で埋め合わせるのは不可能です。


ロシアのノワク副首相が、3月の原油の生産量を、日量50万バーレル減らすと表明したのは、石油製品の輸出が減少するのに伴う動きでもあります。


EUは、政治的にロシアに対する制裁を必要とする半面、域外の地域を迂回したロシアの原油や石油製品の購入を増やしています。


石油製品価格の上昇とインフレは避けたいため、域外の国々で処理、加工した製品が欧州に入ってくることは問題視していません。

 


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