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ムーディーズ・中国の格付をネガティブ(弱含み)に変更【12月14日(木)】

米国格付け会社ムーディーズは、12月5日、中国の信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更しました。


不動産不況をきっかけに財政余力が低下しているためです。


ムーディーズは、2017年に中国の格付けを「Aa3」(ダブルAマイナス相当)から「A1」(シングルAプラス相当)に1段階引き下げています。


今回「A1」からの格下げの可能性を示唆する「ネガティブ」への変更は、財政難に陥った地方政府や国有企業に対して、中国政府が財政支援を行う傾向が強まっていることが理由です。


中国財務省は、GDPに対する政府債務比率は50.4%と、警戒ラインの60%を下回っていると健全性を強調しています。


中国政府は、タイや韓国が事実上国際通貨基金(IMF)の管理下に入ったアジア通貨危機を教訓に、政府債務の増加を厳しく規制してきました。


その一つが、2014年まで実施していた地方債発行の原則禁止です。


中央政府から成長率の達成を求められる一方で、地方債による資金調達ができない地方政府は、「融資平台」と呼ばれるインフラ投資会社が、別動隊として資金調達を行い、地方経済を支えてきました。


「融資平台」は政府予算・決算の枠外で柔軟に資金を調達し、投資を実行してきました。


結果的に、その債務は政府の統計に計上されない隠れ債務となりました。


「融資平台」の規模は大きく、債務額の総額は、66兆元(約1,400兆円)と途方もない金額になっています。


中国政府の30兆元や、地方政府の40兆元を上回ります。


中国最大の「融資平台」といわれる天津城市基礎施設建設投資集団の負債総額は6,237億元(約13兆2,000億円)と、経営再建中の不動産大手、中国恒大集団の1/4に相当します。


天津市の2022年の一般公共予算収入は、前年比5.8%減の1,846億元、土地使用権収入などが中心の政府性基金収入は62.8%減の423億元にすぎません。


天津市に限らず、不動産不況で地方政府の財政余力は急減していて、地方政府の「融資平台」への支援余地を弱めています。


ムーディーズは、中国の経済成長率は2024年と2025年が4%、2026~2030年が年平均3.8%に鈍ると予測しています。

 

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