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中国・不動産を起点に金融、財政同時に悪化【8月17日(水)】

中国で、不動産開発企業の経営難を起点に、金融と財政が、同時悪化しています。


不動産の苦境は、政府の規制強化が発端です。


バブル抑制のため、政府は、2021年、不動産開発企業向け融資や、住宅ローンを絞りました。


ゼロコロナ政策で、景気も悪化し、2022年1~6月の住宅販売面積は、前年同期比27%減りました。


7月も、主要100都市で、前年同月比、27%減、前月比も13%減りました。


中国恒大集団など、不動産開発企業は、負債を膨らませて、新規物件を開発してきました。


しかし、金融規制強化などで、不動産業の成長モデルは、逆回転を始めました。


資金繰り難で、債務不履行(デフォルト)が急増し、返済の先送りを含む債務不履行は、8月8日までの1年間で、99件ありました。


その前の1年間の2.2倍に膨らみました。


米S&Pグローバルは、格付け対象の不動産開発企業の少なくとも2割が、破産危機に直面していると分析します。


銀行融資にも、影響が出始めています。


中国の不動産融資残高は、全体の26%を占めます。


日本のバブル期でも、21~22%台でした。


国有大手4銀行の不動産業向けの不良債権比率は、2021年末で3.8%と、1年間で1ポイント以上悪化しました。


開発企業の資金繰り難で、マンション建設が、中断する未完成の物件が、相次いでいます。


中国では、竣工前に、売買契約や住宅ローンの契約を済ませる例が多く、未完成物件の家主が、住宅ローンの返済を拒否するといった強硬手段に打って出るケースも出始めました。


7月に拡大し、全国で300ヶ所以上の開発案件に広がりました。


不動産融資残高の1.7%にあたる、9,000億元(約18兆円)に影響が及ぶ可能性があります。


中国政府は、金融不安を払拭するために、銀行の資本増強を急いでいます。


地方政府が、インフラ債券の発行で、調達した資金を転用し、中小銀行に公的資金を注入します。


2022年の新規注入額は、3,200億元(約6兆4,000億円)に上ります。


地方政府の借金で、金融を安定させる狙いがありますが、地方政府の財政状況も、厳しい状況にあります。


土地が国有の中国では、地方政府が、国有地の使用権を不動産開発企業に売ります。


地方政府は、減税などで税源が細り、土地収入への依存を強めてきました。


2020年の地方財政決算では、遡れる、2010年以降で初めて、土地収入が、地方税収入を上回りました。


しかし、手元資金が枯渇した不動産開発企業は、新たな土地の確保に動けなくなり、2022年1~6月の土地収入は、前年同期より31%減少し、通年でも、7年ぶりに前年割れとなる公算です。


歳入の柱が崩れ、地方財政の悪化が進んでいます。


米S&Pグローバルは、最大3割の地方政府が、2022年末には、歳出削減など、早期是正措置を求められる水準まで、財政が悪化すると見ています。


中国は秋の共産党大会をひかえて、政治の季節に入りました。


新指導部の人事が固まるまでは、大胆な経済政策の変更は、期待しづらく、政策空白のなか、不動産苦境への対応が遅れれば、金融と財政の同時悪化による複合不況を招く恐れがあります。

 


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