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中国・不動産向け不良債権が6割増加【5月18日(木)】

中国で、不動産業界向けの不良債権が、増え続けています。


2022年末時点で、中国工商銀行など、4大銀行の不良債権残高は、前年比で6割増え、直近10年で最大となりました。


不動産は、中国の国内総生産(GDP)の3割を占めると言われ、経済に大きく影響します。


香港証券取引所上場の主要32行の2022年12月期の不動産向け不良債権は、2,640億元(約5兆1,000億円)と、1年で7割弱増えました。


4大銀行は1,800億元と、6割増え、直近10年で最大となりました。


この数年は1~3%台で推移していた不動産向けの不良債権比率は、5.8%に急速に悪化しました。


今年の1~3月期決算でも、傾向は変わりません。


準大手の招商銀行では、不動産向けの不良債権が152億元と、昨年末に比べ15%増えました。


中国は、2020年に不動産大手に負債額の厳しい上限を求めるなど、規制強化を実施しました。


企業の資金繰りが悪化し、2021年12月に恒大集団がデフォルトに陥るなど、危機が広がりました。


過剰債務の適正化を目指す施策でしたが、銀行の不良債権が膨らむ結果を招きました。


地方が地盤の貴州銀行は、昨年6月時点で0%台の不動産向け不良債権比率が、20%台に悪化しました。


2月に新築マンション価格が1年半ぶりに上昇に転じるなど、楽観的な見方もありますが、住宅購入意欲の強い25~35歳の人口は減少に転じ、市場が勢いを取り戻すのは、構造的に難しいと思われます。


各行は、不良債権の圧縮を急ぎます。


甘粛銀行は、不良債権総額の7割にあたる、27億元超の不良債権を政府系資産管理会社などに売却しました。


浙江省の浙商銀行も昨年、28億元分の不良債権証券化したほか、49億元分を第3者に譲渡したと発表しました。


もっとも、これらは、リスクが銀行から不良債権受け皿会社に転嫁されているだけの面もあります。


中国では、AMCと呼ばれる資産管理会社が、不良債権を買い取り、再生して転売します。


大手AMCの中国華融資産管理は、2022年12月期に赤字に転落し、同業の中国信達資産管理も利益が半減しました。


いずれも不動産価格の下落で、多額の減損損失を計上しました。


華融など大手AMCは、1990年代に4大銀行の不良債権処理のため設立されました。


2013年以降は、多くの地方政府系AMCが設立され、後ろ盾となる地方政府の財政悪化が深刻です。


AMCにも資本の制約があり、不良債権を処理し続けるのには限界があります。


政府は、昨年末不動産会社の資金調達規制を一部緩和しました。


不動産市況が回復しなければ、不良債権がさらに増加する可能性があります。

 


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