国際通貨基金・中国不動産危機へ懸念【2月8日(水)】
国際通貨基金(IMF)は、中国経済の年次報告で、不動産危機への懸念を示しました。
国内総生産(GDP)の3割を占める、不動産業の低迷が続けば、消費など総需要が、落ち込み、金融危機を誘発しかねないと分析、警鐘を鳴らしました。
危機終息へ、国家レベルの追加措置が必要とし、開発企業の再編を急ぐべきと指摘しました。
中国の経済や財政は不動産への依存度が高く、地方政府が開発企業に売り出す土地使用権の収入は、地方税収を上回ります。
不動産用の鉄鋼需要は、全体の3割に達します。
中国の不動産業は、政府の金融規制で資金繰りが悪化しました。
工事の中断で竣工が遅れる物件が続出し、購入者が抗議のため住宅ローンの返済を拒否する動きが広がりました。
政府は、早期竣工を促す対策を取りましたが、IMFは、不動産危機は、なお続いていて、大規模な業界再編が必要と指摘しています。
経済財政の構造改革にも注文をつけました。
インフラ投資に偏っていた、地方政府の財政支出を、家計支援の比重を高めるよう求めました。
コロナの打撃が大きい地域の家計への支援を実施すべきだと強調しています。
社会保障システムの充実も提起しました。
社会保障が充実すれば、貯蓄を消費に振り向けやすくなり、投資に偏った経済構造に
変化を促すこととなります。
国有企業と民間企業の公平な競争環境が必要だとも主張しています。
生産性の低い国有企業への依存を高めると、先進国との間の生産性に格差が広がりかねないと懸念しています。
2023年の中国の実質経済成長率は、2022年10月の予測から、0.8ポイント引き上げ、5.2%と予測しました。
ゼロコロナ政策が終わり、経済活動が正常化に向かうと見込みました。
ただ、先行きの見通しは、下振れリスクが上振れを上回るとみます。
ウクライナ問題の激化やエネルギー価格の上昇のほか、米中対立で、中国企業の米国市場での上場廃止などの金融デカップリング圧力が強まることをリスク要因に挙げました。
新型コロナの感染動向も懸念材料となります。
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