パキスタン・中国の債務の罠に陥る懸念【6月22日(木)】
経済危機に陥っているパキスタンが、中国から10億ドル(約1,400億円)の融資を受けたことが分かりました。
パキスタン中央銀行(SBP)が6月16日に発表しましたが、詳細は明らかになっていません。
パキスタンの経済は、世界的な物価上昇や大洪水の影響で、破綻寸前となり、債務不履行(デフォルト)の危機が続いています。
SBPの外貨準備高は、1ヶ月分の輸入を賄える程度まで落ち込んでいて、資金が不足する懸念がありました。
パキスタンへの支援を巡っては、国際通貨基金(IMF)が2019年に65億ドルの拡大信用供与を承認しました。
この救済プログラムは、6月末に期限を迎えますが、パキスタンは、未使用の融資枠のうち、11億ドルの融資を求めてIMFと協議してきましたが、実行には至っていません。
こうした状況で、パキスタン政府は、6月9日、2023年度(2023年7月~2024年6月)の国家予算案を発表しました。
歳出は14兆4,600億パキスタンルピー(約7兆円)で、歳入は12兆1,600億パキスタンルピー(約5.9兆円見込むとしています。
かねてより、パキスタンに財政・構造改革を求めてきたIMFは、予算案について、より進んだ方法での課税拡大の機会を放棄していると酷評し、強い不満を表明しました。
パキスタンは、これに強く反発し、IMFに頼らない選択肢を模索するなか、中国に頼りました。
中国にとって、インドをけん制するためにも、パキスタンの役割は重要であり、国家破綻は望んでいません。
IMFの2022年9月の報告書によると、パキスタンの対外債務は、約1,000億ドルにのぼり、中国と中国の商業銀行からの債務が、全体の約30%を占めます。
中国の広域経済圏構想「一帯一路」のインフラ開発事業の中国・パキスタン経済回廊で、借り入れが膨らみました。
中国の新たな融資で、パキスタンの中国依存は一段と強まります。
パキスタンのマリク石油担当相は、6月11日にカラチ港に到着したロシア産原油の初荷を、中国人民元で決済したことも明らかにしました。
スリランカでは、対中国債務が積み上がった結果、南部ハンバントタ港の運営権を99年間、中国に譲渡する結果となりました。
パキスタンも、債務負担に耐えかねて、港湾などの重要なインフラを中国に明け渡す、債務の罠に陥る懸念が強まります。
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