米国利上げ・新興国から資金流出 【5月11日(水)】
米国の利上げで、新興国経済に圧力がかかっています。
ドルの金利上昇に伴い、新興国からの資金流出が強まり、ロシアのウクライナ侵攻後は、新興国債券の運用残高が、136億ドル(約1兆7,500億円)減少しました。
資金流出による通貨安は、インフレにつながるため、新興国も、利上げせざるを得ません。
急速な利上げは、新興国経済を冷やし、世界経済の減速を招く恐れがあります。
5月3~4日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、通常の倍となる、0.5%の利上げが行われました。
米国の利上げは、新興国からの資金流出を招きやすくなります。
新興国は、自国通貨の下落で、輸入品が値上がりすると強いインフレにさらされます。
ロシアのウクライナ侵攻は、資源高を招き、資源を輸入に頼る新興国は、経常収支の悪化が予想され、投資資金が逃げ出します。
新興国債券ファンドは、ロシアのウクライナ侵攻の2月24日から4月27日までで、約136億ドルの資金流出となりました。
4月21~27日の流出が、39億ドルと侵攻後最大で、流出が加速しています。
インフレと資金流出を抑えるためには、新興国も利上げせざるを得なく、急速な利上げは、経済を冷やす恐れがあります。
ブラジルは、米国の利上げに備え、2021年3月から、利上げを進めてきました。
ブラジルは、原油や鉄鉱石が豊富で、国際資源価格の上昇は、追い風となり、通貨レアルは、年明け以降上昇基調で推移してきましたが、4月後半から下落基調に転じました。
高インフレで、消費が抑制されるなか、工業品税の引き下げなどで、政府の財政が悪化するとの懸念が背景にあります。
中央銀行による10会合連続利上げで、政策金利が2%から12.75%まで上がり、6月の会合でも利上げに動くとの見方が強くあります。
エジプトは、小麦の8割をロシアとウクライナから輸入しています。
3月の消費者物価が前年同月比、10.5%上昇しました。
4~6%台だった昨年と比べると、急激なインフレになっています。
中央銀行は、3月下旬に5年ぶりの利上げをした上に、エジプトポンドをドルに対して切り下げ、国際通貨基金(IMF)に支援を要請しました。
通貨安になると、債務返済の負担が増します。
新興国では、今年に入ってから、11件の債務不履行(デフォルト)が起きています。
前年の3倍のペースです。
新興国にとって、悪材料が重なっていて、政情不安につながると、さらに影響が拡大しかねません。
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