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外人投資家が中国離れ・ゼロコロナ政策が裏目か 【5月12日(木)】

「ゼロコロナ」政策が中国の通貨、「人民元」に変調をもたらしています。


都市封鎖(ロックダウン)による景気や、輸出の下振れ懸念に加え、政策に懐疑的な外国人投資家の中国離れを招きかねないからです。


外国人投資家は、中国の「ゼロコロナ政策」は、理解できないというスタンスです。


欧米が、新型コロナウイルスとの共生を志向する「ウィズコロナ政策」を推進する一方で、中国は、厳格な防疫政策を徹底していて、経済や社会が、大きな影響を受けています。


3月の外国人投資家による、中国株・債券の売り越し額は、1,575億元(約3兆1,500億円)と過去最大規模でした。


人民元は、3月1日に1ドル=6.3048元と4年ぶりの高値を付けたばかりでしたが、足元では、湖北省武漢市からコロナ感染が拡大した、2020年以来の安値圏で推移しています。


人民元安相場への転換のきっかけとなったのは、経済を支えるための中国の利下げと米国の利上げです。


米国国債の利回りが、中国国債を上回り、利回り面で、中国の有利さが無くなっています。


さらに、工場の操業停止や供給網(サプライチェーン)の混乱による輸出減速への懸念が追い打ちをかけました。


4月の輸出は、前年同月比で3.9%増と、3月の14.7%増から大幅に縮小しています。


上海港のコンテナ処理量は、足元では、前年同期比、19%減少しています。


2021年は、コロナ禍の新興国の代替受注を中国が取り込み、通年の貿易黒字が過去最高となりましたが、中国の感染拡大で、その立場が逆転する可能性が出てきました。


これまでは、中国の輸出企業が受け取ったドルを人民元に交換するため、米ドル売り、人民元買いにつながっていました。


今後輸出が減れば、こうした人民元相場を押し上げる動きは萎みかねません。


中国人民銀行(中央銀行)は、景気の下支えと資本の流出回避の両立というジレンマに直面することとなります。


4月25日、中国人民銀行は、大手銀行を対象にした預金準備率の引き下げを0.25%にとどめ、事実上の政策金利である最優遇貸出金利の引き下げを見送りました。


利上げを続ける欧米と一定の歩調を合わせる態度を示しました。


過去にも、アジアの通貨危機は、インドネシアスハルト大統領(当時)を失脚させるなど、東南アジアの政治体制を揺るがしました。


中国にとって通貨の安定は、政治体制の安定に直結する極めて重要な政策課題です。


習近平指導部は、ゼロコロナの徹底を訴えますが、切り下げをきっかけに人民元下落に歯止めがかからなくなった、2015年のような事態となっても、ゼロコロナ政策の維持を
堅持するのでしょうか。

 


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