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オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)【7月1日(金)】

【9101】日本郵船、【9104】商船三井、【9107】川崎汽船が共同出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が好調です。


2022年3月期の純利益は、167億ドル(1ドル=112円で約1兆9,000億円)と、前期比5倍に拡大し、国内上場企業と比べると【7203】トヨタ自動車(2兆8,501億円)に次ぐ水準です。


ちなみに、国内2位は【9432】NTT(1兆1,810億円)、3位は【8306】三菱フィナンシャルグループ(1兆1,308億円)です。


しかし、景気減速懸念が強まるなか、コンテナ船頼みの経営には、危うさもあります。


前期は、コンテナの積高は増えておらず、増益要因の大半は、運賃上昇によるものです。


運賃上昇による増益が145億ドルと、全体の増益額を上回っています。


運賃はコロナ禍以前の2018年4~6月期に比べて、北米向け航路で2.5倍、欧州向け航路で4.7倍に上昇しました。


ONEは、世界的に見ても収益力が高く、2022年1~3月期、売上高EBITDA(営業利益+原価償却費)比率は、65%と、コンテナ船世界2位のデンマークAPモラー・マースクや3位の仏CMA-CGM、5位の独ハパロックロイドを上回ります。


ドル箱と言われる、アジア-北米航路が、3割と高いためです。


6月には、親会社3社に、配当金25億ドルを支払いました。


2021年11月と2022年3月にも支払っており、合計約84億ドルで、配当性向は約50%になります。


課題は、成長戦略をどう進めるかです。


浮き沈みの大きい、コンテナ船事業だけに頼るのはリスクが大きく、世界の大手は、事業の多角化を進めています。


スイスのコンテナ船最大手MSCは、3月に仏ボロレのアフリカ物流事業を57億ユーロ(約7,700億円)で買収しました。


APモラー・マークスは、昨年、香港物流会社LFロジスティックを、2022年には米物流会社パイロットフレイトサービスを買収すると発表しています。


しかし、ONEは、多角化とは一線を画し、環境戦略を主軸に、コンテナ船事業に注力します。


2030年までに、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない船舶などの増設に200億ドル以上投じる計画です。


ただ、コンテナ船事業への依存に、危うさがあることは否めません。


親会社3社の業績予測から推定すると、今期の純利益は、3割減の1兆4,000億前後の見通しです。


中国、上海航運交易所によると、6月中旬の上海発のコンテナ船運賃は、4月上旬に比べて、米国向けが5%、欧州向けが10%安と、下落しています。


親会社の業績への影響は大きく、経常予想のうち、ONEの利益が、日本郵船が7割、商船三井が8割、川崎汽船が9割を占めます。

 


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