オフィス賃料が下落しています。
2022年下期の東京の賃料水準は、東日本大震災以来の下落幅となっています。
在宅勤務の定着に伴う拠点の集約や、世界インフレなどによる景気不安から企業は、オフィス投資に慎重です。
2023年も、ビルの大量供給を控え、賃料の下落圧力が強くなっています。
賃料を1985年2月を100として指数化すると、2022年9月時点、東京地区の既存ビル(築後1年以上)は149.12と2021年下期より5.65ポイント低下しました。
4.56ポイント低下した2021年から下げ幅を広げ、東日本大震災の影響が残っていた、2011年下期以来11年ぶりの下げ幅を記録しました。
下期の水準としては2018年以来4年ぶりの低さです。
在宅勤務の定着や、景気不安が背景にあります。
コロナ感染拡大以降、在宅勤務が定着し、オフィススペースの縮小、定着を検討する企業が増えています。
日立製作所は、東京都と神奈川県内の自社やグループ企業のオフィス面積を2割減らし、富士通やNTTも集約を進めています。
大企業がオフィスを見直す動きは、まだ続きそうです。
コロナによる経済停滞の長期化も、オフィス需要を減退させます。
日銀が推計する需給ギャップは、2022年4~6月期まで、9四半期連続でマイナス圏にあります。
需要回復が遅れる中では、企業もオフィス拡張には二の足を踏みます。
さらに、ここにきての世界的なインフレによる、景気の先行きの不透明感も加わり、企業は一段とオフィス投資に慎重になっています。
2022年下期の東京の新築ビルの指数は、166.95で、2021年から0.44ポイント低下しました。
都心5区(千代田、中央、港、澁谷、新宿)の新築ビルの空室率は、9月時点で4割に達しています。
大阪では、既存ビルは、2.58ポイント高い150.09、新築ビルは、JR新大阪駅周辺で引き合いが弱く、2.95ポイント低い185.96でした。
リーマンショックや東日本大震災で落ち込んでいたオフィス賃料は、アベノミクスを契機に反発し、コロナ前までは上昇の一途をたどっていました。
しかし、コロナ禍やウクライナ危機、インフレを背景に、再び下落局面が顕著になっています。
2023年には、東京で大型ビルの開業が相次ぎます。
虎ノ門ヒルズの新ビルのほか、麻布台や渋谷駅桜丘口などで、ビルの竣工が見込まれます。
2023年は、過去平均を3割上回る面積の供給が見込まれますが、今年9月時点で大型ビルの内定率はまだ3割程度と推定されます。
大阪駅北側でも大規模再開発ビルが2024年から順次竣工し、競争の激化が想定されます。
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