夏の風物詩「かき氷」に値上げの動きが広がっています。
最大の要因は、猛暑ではなく、暖冬です。
材料の天然氷が冬に作れず不足し、仕入れコスト高の転嫁が進んでいます。
天然氷のかき氷店、氷の音(さいたま市)は、看板メニューのいちごミルクを300円値上げして1,700円にしました。
他のメニューも100~200円値上げしました。
氷の仕入れ値が2割上がったことで、値上げを余儀なくされました。
ひみつ堂(東京都谷中)は、天然氷の仕入れコストや、果物の価格上昇もあり、7月から100~200円値上げしました。
人気の「ひみつのいちごみるく」を100円値上げして1,600円にしました。
氷にはいくつか種類がありますが、天然氷は高級材料として、かき氷専門店を中心に使われています。
自然を利用した昔ながらの製法で、人工の池に水を張り、冬場の外気で2週間から3週間ほどかけて凍らせて作ります。
現在、天然氷を作っている会社は、全国で数えるほどしかありません。
天然氷は氷が硬いため、薄く削れるのでふわふわ感があるそうです。
天然氷の値上がりの背景には、暖冬があります。
以前と比べて、冬の寒い期間が短く、氷が作りにくくなっているそうで、八義(山梨県北杜市)では、今年の冬は気温が高かったため、氷の厚さが薄くなり、生産量が例年の1/3になったといいます。
気象庁によると、2023年12月~2024年2月の気温は全国的に高かった。
八義では、生産減をうけ、1割値上げしました。
近年、かき氷の需要は旺盛で、ひみつ堂では、休日には120人もの列ができることもあるそうです。
人気を支えるのはSNSです。
SNS映えするかき氷が人気で、1杯1,000円を超えるかき氷も珍しくなくなってきました。
もちろん、猛暑は消費の追い風で、夏の平均気温が最高だった2023年、スーパーなどの小売店でのかき氷の販売額は839億円と過去最大でした。
特に7、8月は年間平均を3倍上回りました。
気温とかき氷の消費には相関関係あり、今年の猛暑でも、かき氷の消費は旺盛です。
1~6月の販売額は昨年を17.8%上回る水準で推移しています。
物価高で倹約意識が高まるなか、価値を感じるものには消費を惜しまないメリハリ消費が浸透していますが、夏場のかき氷には多くの人が価値を感じているようです。