米国で昨年12月23日、強制労働を理由に中国の新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止するウイグル産禁輸法が成立しました。
今年6月下旬に施行する予定です。
日本企業も供給網の精査や調達先の見直しが迫られ、中国からの報復措置にも配慮した慎重な対応も求められます。
同法は、米国が新疆ウイグル自治区で生産された製品を、強制労働でつくられたものと見なし、原則、輸入を禁止します。
新疆ウイグル自治区で生産された部品、部材を含んだ完成品も対象となります。
米国は、これまでも同自治区からの綿製品やトマト、太陽電池部材などの輸入を禁止していましたが、同法の施行で、全製品を輸入禁止の対象とします。
日本企業に、まず求められるのはサプライチェーン(供給網)の精査です。
例えば、イタリア産と書いてあるトマト缶もトマトの調達経路を確認すると、産地がウイグル自治区だったという例もあります。
自社のサプライチェーンにウイグル自治区産のものがないか、念入りに確認する必要があります。
2次、3次のサプライヤーまで調べるのにはコストや時間がかかるので、リスクコンサルタントや弁護士など、専門の第三者に依頼することが必要になるかも知れません。
サプライチェーン全体から、リスクが高いと思われる分野を集中的に調べ、現地の調査記録などを残すことが重要で、米国から問題視された場合の説明材料となります。
特に、綿製品を原料に使うアパレルやポリシリコンを使う太陽光発電パネルメーカー、トマトを使う食品加工などは、十分な注意が必要です。
米国が2021年に出した勧告では、強制労働が疑われる産業には、携帯電話や電子部品の組み立て産業、石炭や銅などの資源採掘産業、玩具やクリーニング用品など、多岐にわたる分野が対象となっています。
ウイグル産禁輸法だけではなく、中国側への配慮も重要になります。
中国だけを対象に調査すると、差別的な狙い撃ちとみなされ、中国政府や中国の消費者の反発を招きかねません。
中国は、昨年6月に中国企業に対する外国の差別的な措置への協力を禁止する、反外国制裁法を施行しました。
違反した企業が、損害賠償請求の対象となる懸念があります。
日本企業としては、あくまでもグローバルで、人権リスクを調べていて、その一環として中国も調べるという方法が望まれます。
今回の法律では、強制労働による生産ではない明確な証拠を示せば、輸入できるとされていますが、その立証のハードルは、相当高いと思われます。
今後、米国以外の国が、新疆ウイグル自治区からの輸入を制限する可能性があります。
ますます、日本企業には、慎重な対応が要求されます。
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