フライドポテト・輸入依存が品不足をまねく 【1月5日(水)】
日本マクドナルドは、昨年12月24~30日まで全国2,900店舗で「マックフライポテト」のM、Lサイズの販売を休止し、小さいSサイズのみを販売しました。
「マックフライポテト」は、米国とカナダで加工されたポテトを冷凍された状態で、船便で輸入しています。
今回の販売休止は、新型コロナ禍を発端とする世界的なコンテナ不足が主因です。
11月にカナダ、バンクーバー港近郊で起きた水害で大量のコンテナが、滞留したことも影響しました。
同社は、12月に緊急措置として、航空便で輸入しましたが、年間10数万トンの輸入を賄いきれず、Sサイズ以外の販売を一時休止しました。
フライドポテト不足の影響は、他の外食企業にも及んでいて、ある外食大手も直近の仕入れを航空便で空輸しました。
コストが大幅に高くなりますが、フライドポテトは、人気商品なので背に腹は代えられないそうです。
デニーズは、輸入状況の悪化でフライドポテトの在庫が不足し、緊急措置として、従来と形状の異なるフライドポテトを提供すると発表しました。
びっくりドンキーを運営するアレフは、1月24日まで、全体の4割にあたる132店舗で「びっくりフライドポテト」など、5商品の販売をやめます。
同社は、フライドポテトをベルギーから輸入していますが、海上輸送の混乱から入手が困難になったためです。
品薄の影響が広く及んでいるのは、各社ともフライドポテトをほぼ輸入に頼っているからです。
特に、日米貿易協定で、2021年4月から冷凍フライドポテトの関税が撤廃され、足元では、7割近くを米国から輸入しています。
しかし、国産への切り替えの動きは起きていません。
国産を阻む二つの理由があります。
フライドポテトは、ラセットバーバンクという男爵より10センチ大きく育つ品種が主に使われますが、日本ではほとんど栽培されていません。
一時、北海道の農家で、試験栽培されましたが、環境の違いか、日本では大きく育たず、さらに買取価格も安いため、根付きませんでした。
二つ目は、検疫の問題です。
日本では、病害虫の侵入を防ぐため、土のついた生鮮ジャガイモの輸入は原則禁止されています。
2020年からポテトチップス向けに限り、米国産ジャガイモの輸入が認められるようになりましたが、フライドポテト向けには使用できません。
フライドポテトが品薄になったからと言って、切り替えることはできません。
実は、2014年にも日本マクドナルドでは、「マックフライポテト」のM、Lサイズの販売を休止したことがあります。
米国の港湾で起きた、労使交渉の長期化による物流の停滞が原因でした。
当時、調達先の多様化に踏み切れなかった理由の一つに、マクドナルドでは、ハンバーガー類は、各国で柔軟に商品化できますが、「マックフライポテト」は、グローバルな社内ルールで、使える品種や長さが厳密に決められていて、それを満たさなければ、商品販売できないというルールがあったからです。
フライドポテトの販売には、コスト以外にも様々な障害があり、外的要因に左右される輸入依存を変えるのは、今のままでは困難です。
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