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鴻海精密工業など台湾企業が中国離れ【5月2日(火)】

米中対立や、人件費などの高騰を受け、製造業に「脱中国依存」の動きが、加速しています。


中国に巨大な工場を構える、鴻海精密工業など台湾勢を中心に、顧客の米国企業の要望を受け、本格再編の動きを見せています。


世界の工場の役割を担った、中国は転換期を迎えています。


台湾電機大手・広達電脳は、ベトナム北部ナディン省に初のベトナム進出をしました。


同社は、米アップルのノートパソコン「MacBook」の受託生産で世界首位です。


2000年代から、中国で集中生産を行い、急成長を遂げました。


売上高も、2022年には、5兆円を大きく超えています。


しかし、1年前、上海市のロックダウンで、4万人を抱える同社の工場は、長期の操業休止に追い込まれました。


同社にとって、今回のベトナム進出は、長く続いた中国依存からの脱却を意味します。


米トランプ政権の対中国関税の引き上げなどで、2018年以降、米中の対立は、深刻化しました。


中国では、人件費の上昇も続き、各企業は、脱中国を真剣に探り始めました。


新型コロナの感染拡大で、各社の動きは、数年停滞しましたが、ここにきて再び、動きが加速しています。


なかでも、世界のアップル製品の大半を受託生産してきた、台湾大手企業が、続々とベトナム進出計画を打ち出しています。


中国リスクを嫌う、アップルなど、米国顧客の要望を反映した形です。


特にベトナム北部は、今やアップル製品の新たな生産基地となっています。


ベトナムは、中国と隣接し、部品調達でメリットがありますが、なんといっても魅力的なのが、人件費の安さです。


製造業の作業員の月給は、中国が607ドル(8万円強)なのに対し、277ドルと、半分以下です。


中国に代わって、人口世界一となった、インドへの投資も活発です。


鴻海精密工業は、インド南部のカルナタカ州とテランガナ州で、相次いで工場用地を取得しました。


南部チェンナイなどに続き、スマホ関連の工場をさらに増やす計画です。


台湾の調査会社によれば、2028年には、iPhone全体の30~35%がインドなど、中国以外で生産されると予測されます。


プリント基板は、一大生産拠点である中国の武漢から、タイに大移動が始まりました。


プリント基板は、パソコンや家電などデジタル製品に欠かせず、台湾企業が中心的役割を担ってきました。


従来の集積地は、中国湖北省武漢で、中国全体で、世界生産の約半分を、担ってきました。


しかし、3~4月だけでもアップルの有力サプライヤー、欣興電子や華通電脳が相次いでタイ進出を発表しました。


この急速な流れは、もう止まりそうもありません。


台湾の海外直接投資は、1~3月には、中国以外が、9割以上を占めました。


中国向けが、前年比、1割減となる一方、東南アジア・インド向けは、5倍近くに増えました。


台湾は、中国が改革・開放路線を加速した1990年代から本格進出し、中国にモノづくりを教え、中国が世界の工場となるための先導役を果たしてきました。


しかし、30年余りが過ぎ、再び台湾勢が起点となり、中国が中心だった世界のサプライチェーンが、大きく塗り替えられようとしています。

 


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