外資の中国投資が、低迷しています。
中国国家外貨管理局によると、外国企業が中国で工場建設などに投じた、対内直接投資は、2022年7~12月期に425億ドル(約5兆8,000億円)にとどまりました。
2020年7~12月期から2022年1~6月期までは、平均で1,600億ドル(約21兆8,000億円)を超えていました。
前年同期からの減少率は、73%と、確認できる1999年以降で最大でした。
中国企業による対外直接投資は、842億ドルで、5年半ぶりの流出超過(417億ドル)となりました。
ゼロコロナ政策の影響もあり、新規投資を手控える動きが広がりました。
中国商務省によると、外国企業が2022年10~12月期に実際に投じた資金は、338億ドルで、前年同期比35%減少しました。
減少率は、比較できる1996年以降で最も大きくなりました。
欧州企業による過去10年の対中直接投資を分析すると、近年は、新たに中国に進出する企業は、ほとんどありませんでした。
投資を継続する自動車大手なども、技術流出を防ぐため、部品調達先を中国以外に広げています。
中国事業の縮小や撤退も目立ち、2022年末時点の外国企業数が、前年末を0.5%下回り、3年ぶりに減少しました。
先端技術をめぐる米中の対立で、中国をサプライチェーンの中核に据えるリスクが、高まりました。
ソニーグループは、2022年末までに、日米欧で販売するカメラの大半を中国からタイの工場に移しました。
ゼロコロナ政策は、中国経済への先行き不安を強めました。
持ち帰り弁当「ほっともっと」を運営するプレナスや、眼鏡専門店の愛眼が、撤退を表明しました。
中国政府は、ゼロコロナ政策を撤廃し、経済の正常化を急いでいますが、対中投資が戻ってくるかは不透明です。
米中対立は、激しさを増していて、米メディアによると、バイデン政権は、特定のハイテク分野で、中国への投資を完全に禁止する方策を検討していると言います。
西側諸国が追従すれば、対中投資は、さらに絞られる可能性があります。
中国に代わって外資の受け皿となっているのが東南アジア諸国です。
2022年のタイへの外国企業の直接投資の新規申請は、前年比36%増の4,339億バーツ(約1兆7,000億円)でした。
台湾の鴻海精密工業は、11月に電気自動車の完成車工場を着工しました。
米穀物大手カーギルがバイオプラスチック工場を計画するなど、環境関連投資も目立ちます。
ベトナムも外国企業の直接投資が、15%増えました。
中国は、海外の資本や技術を取り込んで、生産性を高めてきました。
中国は、人口減少社会に突入し、少子高齢化が急速に進みます。
外国企業の投資が滞れば、今後の経済成長の下振れリスクが、いっそう高まります。
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