米国テスラは売上高と利益が過去最高・半導体不足を克服 【10月28日(木)】
米国テスラが10月20日に発表した2021年7~9月期の決算は、売上高、利益ともに過去最高となりました。
世界各国の環境規制を追い風に、売上高は、137億5,700万ドル(約1兆5,700万円)、と前年同期比、57%増となりました。
他の自動車メーカーへの温暖化ガス排出枠の売却収入は、2億7,900万ドルに落ち込みましたが、純利益は、16億1,800万ドルと4.9倍になりました。
4~6月期に11.0%だった営業利益率は、7~9月期に14.6%に高まりました。
EV車は、ガソリン車に比べ1台あたり、3~5倍の半導体を使うとされ、株式市場は、半導体不足がテスラにも影響すると見込んでいました。
同社が、7~9月期の生産、販売実績が過去最高を記録したと発表した際は、減速を見込んでいた機関投資家から驚きの声が上がりました。
テスラは、自動運転のソフトを開発するだけではなく、米アップルの技術者を引き抜いて、専用半導体を自社開発しています。
半導体に関して、あらゆる専門知識を持つチームの存在が、課題の克服において、他社との大きな違いを生んだと言えます。
エンジンや、エアコンなど基幹部品ごとにマイコンを搭載し、分散制御するガソリン車とは異なり、テスラのEV車は、中央の電子制御ユニット(ECU)で車全体を集中制御しています。
ガソリン車に比べ、構成が単純で、ECU以外の半導体は、代替がききやすくなります。
半導体不足が深刻になった4~6月には、CEOのイーロン・マスクが自ら代替品の調達を指揮し、スタートアップならではのスピード感で乗り切りました。
10月には部品不足などで生産を止めていた高級SUV(多目的スポーツ車)「モデルX」の納車再開にもこぎつけました。
今回の半導体不足は、コロナ禍からの回復局面で、世界の自動車大手が、一斉に生産を拡大し、危機的な混乱を招いた側面があります。
半導体業界からは、需要に応じて発注量を変える、ジャストインタイムの取引慣行への不満が出ています。
長期の成長計画に基づいて、発注量を拡大するテスラは、サプライヤーにとって魅力的な取引先になります。
7~9月期決算のけん引役となったのは、2021年に中国で現地生産車の販売を始めた、小型SUV「モデルY」です。
テスラは、地域別の販売台数は公表していませんが、調査会社によれば7~9月の中国販売台数は、前年同期比3.9倍の13万3,200台でした。
2019年に、上海で稼働した完成車工場の生産台数は、米国工場を上回り、欧州や北米、アジア各国への輸出拠点になっています。
年内には、ドイツのベルリンとテキサス州オースチンで、新たに完成車工場が稼働予定です。
ピックアップトラック型EV「サイバートラック」などの新型車の量産開始を控え、サプライチェーンの複雑さは増す一方で、テスラの機動力が、さらに試されることになります。
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