中国が、新型コロナの感染拡大防止のため行っている都市封鎖(ロックダウン)が米アップルの経営を直撃しています。
製品の大半が、台湾企業の中国工場で生産されているためです。
世界で販売されるアップル製品は、現在、9割以上が中国で生産されています。
生産委託先も限られていて、台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)が大半を請け負っています。
鴻海(ホンハイ)精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)、仁宝電脳工業(コンパル)、広達電脳(クアンタ)、緯創資通(ウィストロン)の台湾企業5社です。
このわずか5社で、全世界で販売されるアップルの主力製品の「iPhone」「iPad」「MacBook」を毎年ほぼ全量受注し、大半を中国の工場で生産しています。
5社合計の中国での年間売上高は、30兆円を超え、雇用は100万人規模になります。
最大の生産拠点は、中国内陸部の河南省、鄭州で、次に生産が集中するのが、沿岸部の上海・昆山と深圳です。
この3地域で、世界のアップル製品の8割が生産されています。
5社の工場があるこの3地域で、何か問題が起きれば、アップル製品の出荷に直ちに影響が出る構図になっています。
今回その3ヶ所でロックダウンが順次行われ、アップルの生命線が襲われました。
特に深刻なのが、上海・昆山地区で、上海のロックダウンは、3月末から、40日間以上経過し、アップル製品の出荷を直撃しています。
特に、2021年10月に発売したノートパソコン「MacBook Pro」は厳しく、クアンタが上海工場で多くを生産していますが、4月初旬から4万人が働く上海工場の稼働が停止されています。
同パソコンの納期は、日米など主要7ヶ国で、7月上旬めどと、2ヶ月先になっていますが、さらに遅れる可能性もあります。
クアンタでは、工場の復旧率は、4月末で3割、近く5割以上に回復させたいと言っていましたが、全面再開のメドは立っていません。
iPhone生産で世界2位のペガトロンも4月、上海と昆山の主力工場が停止、世界の3割の生産を担うサプライヤーだが、全面再開は遠い。
iPad生産で世界2位のコンパルも昆山の主力工場を一時停止し、4月の売上高は、40%の大幅減となりました。
このような背景があって、上海地区で生産の多いMacBook、iPadが世界的に品薄になりました。
アップル製品の最大の拠点がある鄭州市でも5月に入り、事実上のロックダウンが始まりました。
鄭州には、鴻海が最大の工場を構えています。
アップルは、4~6月期は、40~60億ドル(約5,100億~1兆円)の減収となる可能性があるとの見方を示しました。
今後も、中国に依存度の高いアップルの経営は、厳しいものがあります。
習近平指導部は、今秋に5年に一度の党大会を控え、「ゼロコロナ政策」を徹底する構えです。
中国政府は、ゼロコロナ政策やロックダウンを簡単にやめられない事情があります。
中国では、60歳以上の高齢者が、2億7,000万人にのぼり、大半が中国製ワクチンで、2回の接種にとどまっています。
なかには基礎疾患を抱える人も多く、しかも、中国の地方の医療水準は低いため、上海などの都市部でのコロナ感染拡大が地方に広がれば、一気に重症患者が増え、中国の医療体制が崩壊することを政府は認識しています。
アップルの株価は、上海のロックダウンが始まった3月末から、2割近くの大幅下落となっています。
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