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新興国からの資金流出が鮮明に 【5月17日(火)】

新興国から資金が流出しています。


新興国全体の株価指数は、2021年末から17%下落し、2020年7月以来の低水準になっています。


落ち込みが目立つのが、エネルギー高の恩恵を受けてきた資源国の株式です。


米国の金融引き締めと中国のロックダウンで、景気の先行き懸念が強まった、4月から下落基調が鮮明になっています。


新興国全体の動きを示すMSCI新興国株価指数は、2022年のロシアのウクライナ侵攻をきっかけに下げ幅を広げ、足元では2020年末比、2割下がっています。


先進国の株価も下落していますが、2020年末の水準とほぼ変わりません。


ウクライナ侵攻直前の2月23日を基準に新興国株価指数をみると、レアメタルが豊富な南アフリカのFTSE/JSEトップ40は、12%下落、鉄鉱石などの産出が多いブラジルのボベスパ指数が8%安など資源国の下落が目立ちます。


資源国を含む主要新興国10ヶ国の株式市場では、4月4日から5月6日までの5週間連続で資金が流出し、合計212億ドル(約2.7兆円)の売り越しになりました。


そのうちブラジルと南アフリカの流出が2割を占めました。


3月後半までは、買われていましたが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げの加速が鮮明となってから売りが強まりました。


為替も対ドルで下落しています。


ブラジルの通貨レアルは、ロシアのウクライナ侵攻後、約3%下落し、メキシコペソも1%下落、南アフリカランドは約7%下がりました。


3月までは新興国全体では、株、為替とも落ち込む中、資源国のブラジルや南アフリカはいずれも上昇していました。


アジアでは、ゴムやパーム油の一大産地のマレーシアの通貨リンギが、5%近く下落し、5月9日には、1ドル=4.38リンギと、2020年4月のコロナショック以来の安値をつけました。


石炭の産地、インドネシアルピアも、2%近く下がっています。


資源国への資金の流れを変えた要因の一つは、米国の金融引き締めです。


FRBは、3月に3年ぶりに利上げを決定、5月には通常の2倍の0.5%の利上げを決めました。


米国の利上げは、新興国の通貨安をもたらし、現地のインフレを加速させます。


ブラジル中銀はインフレ抑制のため連続で政策金利を引き上げるなどし、新興国の利上げが本格化し、新興国の景気の減速懸念が拡大しています。


資源高の効果を打ち消しています。


新興国の生産や新規受注は、4月時点でコロナ初期の2020年4~5月以来の低水準になっています。


二つ目の要因は、3月から本格化した中国のコロナ対策のロックダウンです。


上海を中心に、物流網の混乱や内需の低迷が深刻化しています。


4月の中国の輸出入総額が、2020年6月以来の低い伸びにとどまり、景気への悪影響が明らかになっています。


上海総合指数は15%安、人民元も6%安に沈んでいます。


マネーが行き場を失いつつあります。

 


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