公正取引委員会は、新規株式公開(IPO)時に、企業が適切に資金調達できる環境を整え、スタートアップ企業の成長を後押しします。
公取委は、IPO時、証券会社などが決める公開価格を、証券会社が一方的に低く設定し、企業の資金調達を妨げるのは、独占禁止法違反のおそれがあるとの見解を示しています。
日本は、欧米に比べて、企業価値が適正に評価されていないとの指摘があり、証券会社に改善を求めます。
公取委は、昨年新規上場した約100社と、大手証券会社に聞き取り調査を行いました。
独禁法に明確に違反する事例はなかったものの、今後、問題となり得る行為があり、見解をまとめました。
公開価格を実態にそぐわない低い価格に設定すると、IPOで企業に入る資金が、本来よりも少なくなります。
上場の手続きを中心となって担う、主幹事証券会社は、公開価格の決定でも、主導権を握りやすくなっています。
証券会社主導で、根拠のうすい公開価格を設定し、企業に不利益をもたらすのは、独禁法の「優越的地位の乱用」にあたるおそれがあると指摘しています。
上場業務の引受け手数料をあらかじめ証券会社間で、調整することは、独禁法の「不当な取引制限」にあたる可能性があると示しています。
また、他の証券会社が主幹事業務を引き受けるのを妨害するのも独禁法の「取引妨害」になるおそれがあると指摘しています。
公取委は、これらの考え方を示し、証券会社に自主的な改善を求めます。
新規上場企業と証券会社の間で十分に協議をして、公開価格を設定するよう求めます。
企業が他の証券会社の意見を聞くことを妨げないようにすることが、競争政策上、望ましいとしています。
証券会社と企業が事前に公開価格を決定しますが、証券会社は、株の売れ残りをおそれて、公開価格を割安に設定する傾向があるとされます。
その分、公開価格と上場初値の差が大きくなりやすく、企業が調達できる資金が少なくなっているとの指摘があります。
公開価格と上場初値の値上がり幅は、英国で平均15.8%と、米国で17.2%ですが、日本では44.8%です。
日本では、初値が公開価格の1.5倍近くになり、その分、公開価格が、米英より低く抑えられていると言えます。
日本は、IPO企業のうち、創業から2年以内の企業の割合は、13.9%で、米国(20.5%)や英国(22.4%)に比べ低く、こうした状況も踏まえ、公取委は、スタートアップを支援する環境整備に乗り出します。
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