【9984】ソフトバンクグループ(SBG)による、英半導体設計大手アームの売却が難航しています。
米半導体大手エヌビディアに、保有するアーム株を最大400億ドル(約4兆5,800億円)で、売却する計画でしたが、米連邦取引委員会(FTC)など、各国独禁当局が、売却に対し厳しい姿勢を示しています。
当初、見込んでいた、2022年3月をメドとする売却完了は、困難になっています。
米ブルームバーグは、エヌビディアが、買収計画を取り下げる準備に入ったと25日に報じました。
SBGが、エヌビディアとアーム株の売却に合意したのは、2020年9月です。
最大400億ドルで、保有するアームの全株式を売却する際、エヌビディアの株式の6.7~8.1%を取得し、他に現金を受け取る計画でした。
SBGは、2016年にアームを3兆円超で買収したため、売却益を得る予定でした。
その後もエヌビディアの株価は、合意当時の2倍以上に上昇したため、SBGにとって今回の取引の重みは増しています。
2021年11月の決算発表で、孫正義社長は、エヌビディア株は、合意当時に比べ、約5兆円の含み益が発生していると述べています。
エヌビディア株は、その後、3割下落しましたが、売却発表時に比べれば、8割上昇しています。
英国の競争・市場庁(CMA)は、昨年8月、競争上の深刻な懸念があるとの報告書をまとめ、追加調査の実施を発表しました。
EUの欧州委員会も、10月に競争法(独禁法)に基づく本格調査を始めたと発表しました。
欧州委員会は、2022年3月15日まで調査をし、買収を認めるかどうか結論を出すとしています。
米国の規制当局FTCは、12月に反トラスト法(独占禁止法)に基づく買収差し止めを求めてエヌビディアなどを提訴しました。
各国当局が懸念するのは、エヌビディアのアーム買収で、エヌビディアが半導体産業の中で力を持ちすぎることです。
アームは、多くの半導体関連企業に設計ライセンスを提供していて、エヌビディアの競合会社もアームの技術に依存しています。
SBGは、半導体各社と競合関係にないため、中立性は損なわれませんでしたが、エヌビディアの傘下となれば事情は変わります。
特に、米FTCは、企業のM&Aへの監視を強めていて、不公正な競争にあたる行為を幅広く監視する考えを示しています。
今回のケースでは、自動車の運転支援に使われる半導体や、データセンター用のCPU(中央演算処理装置)など、アームの設計を使った技術が、競争を阻害すると指摘しています。
SBGにとっては、売却が不成立になった場合、以前に検討していたアームの新規公開を進める可能性もありますが、大きな戦略の見直しを迫られます。
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