【公式】スナップアップ投資顧問ブログ

日本株式の専門家スナップアップ投資顧問の公式ブログ

中国の変調・原油の輸入が20年振りに減少 【2月1日(火)】

世界中から、原料や燃料を調達し、加工品を輸出してきた、中国の姿勢に変化が出てきました。


2021年は、原油や鉄鉱石など、一次産品の輸入が減少し、脱炭素を背景に、鋼材やアルミなどの加工品の生産も減りました。


生産が減った分、アルミニウムの輸入量は、過去最高を更新し、余剰なガソリンの海外への輸出は、減少しました。


中国の姿勢の変調は、国際商品市況に影響を与える可能性があります。


2021年の中国の原油輸入量は、前年比、5.4%減の5億1,298万トンと、20年ぶりの減少に転じました。


1990年代半ば以降、国内油田の枯渇や、車社会の進展などで、原油の輸入量は、ほぼ右肩上がりで増えてきました。


昨年、減少に転じた一因は、新型コロナウイルス禍での移動制限などによる、燃料需要の低下や、自動車の販売不振があります。


一方、構造的な変化を反映している面もあり、2020年は、脱炭素社会への移行が本格化した年で、後から見たら、中国の原油輸入量は、2020年がピークだった可能性があります。


中国の自動車普及率は、まだ途上にはあるものの、2021年はガソリン車が伸び悩んだ半面、EV車の新車販売は、過去最高の291万台となりました。


中国政府は、2060年までに、CO2排出量の実質ゼロを達成する方針を打ち出しています。


原油以上に脱炭素の流れに影響しているのが、製造時にCO2の排出量が多い、鉄鋼やアルミなどの加工品です。


鉄鉱石の輸入量は、11億2,000万トンと過去最高だった2020年から一転減少しました。


輸入が減るのは3年ぶりでした。


アルミ原料のボーキサイトの輸入も、2020年比、3.8%減の1億737万トンでした。


2021年には、粗鋼減産規制を初めて導入し、鉄鋼の過剰生産を抑制する姿勢を強めており、減産を促すため、半製品の輸入を促進したり、鋼材の輸出を抑えたりしています。


鉄鋼の生産抑制は、2025年のCO2排出量ピークアウト達成を目標とした、長期的視野に立ったものです。


アルミは、直接的な生産規制までは打ち出されていないものの、優遇電力料金の禁止や、電力料金の上限撤廃など、エネルギー消費の多い産業の実質減産につながる政策が進んでいます。


中国は、アルミの最大の生産国であり、最大の消費国でもあります。


生産が減った分を、輸入で補ったことで、アルミの輸入量は、2021年は321万トンと、2020年の270万トンを上回り、過去最高を記録しました。


中国は、鉄鉱石で、世界の輸入量の7割を占め、ボーキサイトも多く輸入しています。


中国依存度が高い、鉄鉱石などの一次産品では、中国の輸入減が、需給緩和につながり、価格に下落圧力がかかります。


一方、鉄鋼などの加工品は、中国の過剰生産・輸出が抑えられると、価格高騰を引き起こすリスクが高まります。


石油製品市場で、中国政府が輸出枠を減らしたことで、2021年のガソリン、軽油、ジェット燃料の合計輸出量が、前年から11.9%減少しました。


日本では、独立系給油所の輸入ガソリンの1割が、中国製で、割安な輸入品が減ることで、ガソリン高の一因となっています。


2021年の貿易の流れの変化は、コロナ禍という環境下で、増幅された可能性はあるものの、脱炭素が、不可避となる中では、今後も続く可能性があります。

 


※無料で銘柄相談も承っております。
※有力な情報配信も行っておりますので下記URLよりご確認ください。

https://snap-up.jp/