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持ち合い株解消・銀行の役割はどこに【5月26日(金)】

公的資金の注入を機に、りそなホールディングスは政策保有株(持ち合い株)の売却を一気に進めました。


戦後、長い間、銀行と融資先の企業は、関係強化の証として、株式を持ち合ってきました。


りそなは、出直しの象徴として、前身ののひとつである旧大和銀行保有していた、同じ野村財閥を起源とする、野村ホールディングスの全株を売却しました。


効果はてきめんで、りそなが野村株を手放すなら、当社株を売られても仕方がないと、政策株の売却を打診された企業は、受け入れざる得ませんでした。


2003年3月末に1兆4,000億円(簿価)あったりそなの政策株は、今年3月末時点で、2,800億円程度まで減少しています。


邦銀は、この間、政策株の圧縮を競ってきました。


3メガバンク保有額は、足元で3兆7,000億円程度で、20年前から8割以上減りました。


株式を持ち合い、企業の業績が悪化すれば、メインバンクが役員を送り込むという、銀行を中核とする日本型の企業統治は、過去の遺物となりました。


カネ余りで銀行融資のありがたみが薄れ、デットガバナンス(金融機関が借り手企業の経営を監視すること)が、かつてほど効かなくなりました。


金融不安のなか、銀行は自己資本比率を保つため、分母にあたる貸出債権の抑制に走り、資金調達に苦労した企業は、利益を内部留保に充てるなど自己防衛を余儀なくされました。


日本経済の停滞で、企業の資金需要が減ったこともあり、実質無借金企業の割合は製造業で58%に達します。


この20年で30ポイント近く増えました。


企業が借り入れに頼らなくなり、政策株の売却でつながりも弱くなれば、当然、銀行の存在感は低下します。


日頃の関係があるので、銀行とも付き合うが、企業の課題や問題点を踏まえた提案の質では、証券会社の方が優れていると京都にある製造業の幹部は冷ややかです。


ポスト日本型企業統治の時代、銀行の役割はどこにあるのか、答えのひとつが、岸田政権が力を入れるスタートアップ支援です。


資金調達のためベンチャー企業が新株を発行すれば、起業家の持ち株比率が過度に下がる場合があります。


ベンチャーキャピタルのように、株式への投資ではなく、融資の出してである銀行の役割は大きいと銀行の幹部は語ります。


日本が起業率やユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場会社)の創出で、欧米に見劣りするのは、ベンチャー企業への資金供給が乏しさが一因です。


足元の業績は振るわなくても、企業の将来性を正確に評価できれば、無担保でも融資を行うことはできます。


三菱UFJフィナンシャルグループは、ベンチャーへの融資ファンドを2020年からスタートさせていますが、今年4月末までに34社と約790億円の融資契約を結びました。

 


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