コロナ禍での行動規制が緩くなり、インバウンド消費や国内旅行需要が伸びています。
政府は、10月11日に訪日客の個人旅行を解禁し、一部の国を対象にビザの免除措置を再開しました。
日本政府観光局によると、10月の訪日客数は、49万人と、9月の2.4倍に増えました。
コロナ前の2019年10月と比べると、2割の水準ですが、韓国からの訪日客は6割までに回復しています。
東南アジアや欧米からの訪日客も増えています。
円安を追い風に訪日客の高額消費が伸びています。
日本百貨店協会によると、10月の免税売上高は、136億円でした。
2019年比では、47%減でしたが、高島屋や三越伊勢丹など大手5社の11月の免税売上高は2019年の5~9割の水準まで回復しています。
首都圏の三越伊勢丹の店舗では、11月末から12月上旬までの売上げが、2019年を4%上回りました。
免税売上の回復を後押ししているのが、ラグジュアリーブランドや高級腕時計などの高額商品です。
商品によっては円安で海外よりも安く買える場合があることが人気の理由です。
日本百貨店協会によると、訪日客一人当たりの購買単価は、10月時点で19万2,000円と、2019年10月(6万5,000円)の3倍近くです。
松屋銀座では11月以降、50万円前後の高級ブランドのバックや、高級時計が頻繁に売れていて、12月1日~15日の免税売上高が、2019年の同期を5.7%上回りました。
しかし、インバウンド消費の回復は、業態により濃淡があります。
コロナ前に3割を占めた中国本土からの訪日客が戻っていないため、中国人による化粧品などの爆買いが見られたドラッグストアの回復は鈍く、ある大手の免税売上高は、2019年の4分の1の水準にとどまっています。
中国人客の多かった家電量販店も回復が遅れています。
訪日客の増加に加えて、政府の観光促進策「全国旅行支援」の追い風を受けているのがホテルや旅館などです。
10月の全国の延べ宿泊者数は、前年同月比38%増の4,426万人、日本人に限れば、2019年10月を上回る水準です。
顧客単価も上向き、パレスホテル東京では、平均客室単価が、11月は2019年同月を上回りました。
足元の外国人比率は6割を超え、12月の売上高は、過去最高になる見通しです。
ビジネスホテルのドーミーインも平均客室単価は、9月から2019年の同月を上回って推移していて、客室稼働率もほぼコロナ前の水準まで戻っています。
訪日客は段階的に水際対策が緩和されてきたこともあり、2023年も伸びそうです。
野村総合研究所は2023年の訪日客数を1,384万人と試算しています。
コロナ前の2019年の3,188万人には及ばないものの、2022年1~10月の152万人は大きく上回ります。
日本人の年末年始の旅行需要も伸びそうです。
JTBの推計では、年末年始(12月23日~1月3日)の日本人の国内・海外旅行者数は、2,115万人と前年比17%増の見込みです。
旅行は、コロナ禍で最も抑制されていた消費分野で、潜在需要は大きく、物価高の影響を緩和し、消費全体を下支えする要素となりそうです。
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